たけちゃん

逃走迷路のたけちゃんのレビュー・感想・評価

逃走迷路(1942年製作の映画)
4.0
人が困った時に助けるのが、いい人なんだ。


アルフレッド・ヒッチコック監督
主演ボブ・カミングス


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
本日、8月13日はアルフレッド・ヒッチコック監督の生誕120周年の日🥳👏🎉

なので、今日から新しいシリーズをスタートします。
シリーズ「ヒッチコック作品巡りの旅」(ˆωˆ )フフフ…
なんだよ、ロビンが終わって、次はヒッチコックかと思ったでしょ?その通りです(笑)ナニカ?www


実は、今年ヒッチコック監督のBDBOXセットを買いまして、この日まで温めていました。輸入盤のお安いやつ(笑)。今回は、そのBOX収録作品を収録順に全てレビューしようという狡い手抜き企画です(ˆωˆ )フフフ…タニンマカセダ


そのBOXのラインナップは?

1. 逃走迷路(1942)
2. 疑惑の影(1942)
3. ロープ(1948)
4. 裏窓(1954)←済
5. ハリーの災難(1955)
6. 知りすぎた男(1955)
7. めまい(1958)
8. サイコ(1960)
9. 鳥(1963)
10. マーニー(1964)
11. 引き裂かれたカーテン(1966)
12. トパーズ(1969)
13. フレンジー(1972)
14. ファミリー・プロット(1976)

という14作品。
でも、「裏窓」だけはレビュー済でしたので、シリーズの中では13本ですね。
惜しいことに「北北西に進路を取れ」や「バルカン超特急」なんかが入ってなかったので、全部レビューが終わったら、そちらも観ようと思います。
まぁ、ヒッチコック全作は難しいから、最初から目指しませんが(*^-^*)ゞテヘヘ

あと、期間は緩めでいきますね~。
8月中に観られるかなぁ……。
他にもいっぱい観たいのあるので( ¯−¯ )フッ



【アルフレッド・ヒッチコック】
1989年8月13日にロンドンで生まれ、14歳でお父さんが亡くなったため、働きながら学校に通ったようですね。
20歳を過ぎて、映画会社でデザインなどの仕事をしながら映画作りを学び、26歳で初監督作「快楽の園」を撮るとは、なかなかの努力家で才人。
1935年に「三十九夜」を、1938年に「バルカン超特急」を発表して脚光を浴び、ハリウッドからも注目され、翌1939年にはアメリカに渡っています。ヒッチコック40歳のことでした。
だから、今回、僕が手にしたBOXセットは、そのハリウッドに渡ってからの作品を集めたものですね。
ハリウッドに渡ってからのことについては、各作品の中で触れましょう( ˘ ˘ )ウンウン

あと、今回のシリーズでは、おまけとして【ヒッチコックを探せ!】をラストに付けています。
カメオ出演でお馴染みのヒッチコック。自分で探したい人は、読まないでね(ˆωˆ )フフフ…





さて、映画です。
「逃走迷路」と意味不明の邦題がついていますが、原題は「Saboteur」、"破壊活動"という意味です。
破壊活動に巻き込まれ犯人とされた工員が、真犯人を捕まえ、自らの潔白を明らかにするため、逃走するというストーリー。

この映画も"ヒッチカニアン"、すなわち、"間違われる男"の話でしたね。典型的なヒッチコックサスペンスです。

ヒッチコック・サスペンスを楽しむポイントは、冒頭部分でボーッとしないことです( ¯−¯ )フッ
なにがしらかの種まきがあるので、お見逃し無く!



あと、1942年という製作年代から分かるのは、この映画、製作が戦時下だということです。ナチス・ドイツのポーランド侵攻は1939年。真珠湾攻撃からの日米開戦は1941年12月ですからね。

僕も観ながら、あら、またナチス・ドイツだわ……ってなりました。これは狙ってなかったので(笑)

だから、この映画は、戦意高揚!とまではいかなくとも、第二次世界大戦への国民意識を高める狙いはあったかも。なんせ、ナチスの工作員による"破壊活動"であり、それはどこに潜んでいるか分からない!ということなのですから( ˘ ˘ )ウンウン
ヒッチコックはどこまで狙っていたのかなぁ。



でも、僕は、そんなこと以上に、今作はとても好きなポイントがあって、それ故に評価するんですが……

それは
無実のバリーを信じる人たちの描写……
まずは、トラックのドライバー
そして、盲目のフィリップ・マーチンさん
それからサーカスの、いわゆるフリークと言われる人々
彼らは普通ならば信頼されない人々です。

逆に、バリーを追う人々と言えば……
金持ちで名士のトビン
仕事熱心な警察官
チャリティーパーティを開くサットン夫人
いずれも、誰が見ても立派な人たちで、信頼出来る体裁なんです。

そうした対比から、目で見える情報の不確かさ、脆弱さが明らかになりますよね。


で、間に入り、翻弄されるのが金髪美女のパットと民主主義という迷信。
彼女は僕らでもあるんですよね。
最初は「国民の義務」と言い、スパイの存在を疑い、目に見える手錠だけで何の検証もなくバリーを犯人だと思う。
マーチンさんは、それに対し、彼の本質を見ようとする。←果たして、本当に判断できたかは微妙ですけど。

次にサーカスのメンバーの説得で彼を信じることになる場面。
"民主主義的決着"で、バリーを匿うことになったサーカスの一同。しかし、その根拠は?
これ、物凄く脆弱ですよね。
民主主義的解決って、本当に絶対ですか?

最後は、自らも追われ、危険な思いをして、初めてバリーと共に犯人を追う。
でも、これだって、自分が危なくならなければ、ここまでの行動にはならなかったわけで。

とにかく、パットの行動や判断は状況に流されやすく危ういんです。
それは、まるで、テレビやネットの一方的な報道や情報を、自分で批判的に検証することなく、盲目的に信じてしまう世論のよう。いわゆる"炎上"なんて、この典型です。
もう少し、きちんと自分の目で見て、判断できるようでなければ、まるで逆の判断と結果になっていてもおかしくなかった。
そんなことを強く感じました。
そんな所が、非常に面白かったのです!


残念ながら、主演2人は後のヒッチコック作品の出演者と比べるとやっぱり弱い。
まぁ、ケーリー・グラントやジェームズ・スチュアート、また、キム・ノバクやグレイス・ケリーと比べるのは可哀想ですね( ¯−¯ )フッ



1942年の作品ですので、演出的にもまだまだで、まったりしたところもあるんですが、後の傑作に繋がる萌芽をたくさん感じましたね。

個人的には、音楽がいい( ˘ ˘ )ウンウン
伊福部昭様の曲にも似てたよね(ˆωˆ )フフフ…
実にサスペンスフルで、好きですよ(^-^)
また、有名な"自由の女神"でのアクションシーンやラストシーンなど、どうやって撮ったのかなぁと思いますよね。
映画館でのシーンも良い。映画と現実がクロスするところとか上手いよね。
そんな見どころも多い作品で、ヒッチコックビギナーにもおすすめのサスペンスです。
よろしければ、どうぞ( •̀ω•́ )و✧






【おまけ:ヒッチコックを探せ!】
映画開始から1時間4分、車で到着したところで、ウィンドウを覗いてます。
ヒッチコックがまだ若く、難易度高めです。