爆裂BOX

ネストの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ネスト(2009年製作の映画)
3.1
妻と離婚した小説家のジョンは、思春期の娘ルイーサと7歳になる息子サムを連れ、自然に囲まれた古い一軒家に引っ越す。周囲を散策していたルイーサは小高い丘を見つけ興味を惹かれる…というストーリー。
ケヴィン・コスナーのデビュー30周年記念として製作されたクリーチャーホラー。
小高い丘を見つけて以来、夜中に家を抜け出し泥だらけになって帰ってくるなどの異常行動をとり始めるルイーサ。娘を心配したジョンは独自に調査を始めるという内容です。
前半はクリーチャーはチラ見せ程度で、思春期の娘への対応に苦慮する父親の姿と反抗的な娘の関係など家族ドラマの側面が強く、怖いシーンや派手なシーンも少なく静かに淡々と進んでいきます。ショック描写と言えるのは家の外に飛び出した飼い猫が食い荒らされた死体になってたり、娘が家の中に持ち込んだ藁人形から変な虫が出て来たり、キッチンの引き出し開けると虫がワラワラいるシーンくらいかな。後者のシーンは虫が苦手な身としてはゾッとしました。
ヒーロー的なキャラじゃ無く、母親に去られて傷ついてる思春期の娘とどう接していいか悩む普通の父親役のケヴィン・コスナーは新鮮ですね。ネットで「子育て」、「失敗」、「思春期」等のワードで検索して溜息つくシーンは哀愁漂っていて泣けます。
「パンズ・ラビリンス」のイバナ・バゲロが思春期の難しい年ごろの娘で、塚の中に潜む地底人に魅入られて変化していく役所を好演してたと思います。泥だらけになって立ってたり浴槽に浸かってたり、何時の間にか背後にいたりと段々と不気味な存在に姿を変えていきます。
ノア・テイラー演じる塚や古墳を調べてる学者は登場したと思ったら地底人の言い伝えを主人公に伝えるだけで殺される事もなく、その後も登場せずフェードアウトしたのは拍子抜け。もっと主人公助けたりがっつり関わるかと思ったのに。削除シーンでは襲われるシーンありますが。
ベビーシッター頼まれたお婆さんはとばっちり過ぎて気の毒でした。主人公といい感じになってたあの人も終盤で退場したのはちょっとビックリ。
終盤ではクリーチャーも姿を現して、ジャケットの様にコスナーもショットガン携えて家族守るために奮闘しますが、そこまで派手な戦いって訳ではないですね。クリーチャーのアリっぽさのある造形はいい感じですが、暗くてはっきり見えるシーンないのは残念ですかね。終盤ではガッツリ現れて襲ってくるのでそれまでの静かな雰囲気好みな人は面食らうかも。
娘の為に主人公が最後に下す決断はあの前住人の老人の言葉が蘇ったのかな。その後のラストはガッツリバッドエンドな感じで驚きましたね。
全体的にホラー描写よりも家族描写の方が多くて、がっつりホラー期待すると期待外れになるかもしれませんね。子供との関係に苦慮する普通のお父さんを演じたケヴィン・コスナーの演技はいい味出していたと思います。