寿マーガリン

ぼくらの七日間戦争の寿マーガリンのレビュー・感想・評価

ぼくらの七日間戦争(1988年製作の映画)
2.0
私は家出をしたことがない。

やかましい先生やうるさい先輩、イジメやケンカに明け暮れるクラスメイトはごまんといたけど、
夜中に不良の男の子と遊び歩いたり、カツアゲや万引き、自転車泥棒のひとつも1度たりともしなかった。絵にかいたような【イイ子】だったと思う。

大声だして騒ぎ立てれば誰かにかまってもらえるとも思わなかったし、そうやって素直にSOSを出せる友人達が正直羨ましかった。

無邪気で素直で、子供だと思った。


顔に出さないだけで、
どんなに静かで優等生でも、辛いことはある。

膝下丈のスカートと、第一ボタンまで閉められた窮屈な制服の下にだって、不良と同じくらい、愛や自由に餓えた心があるものなのだ。

それが思春期だと私は思う。


この映画は、ダメダメダメダメ言われて爆発した子供達が、あれやこれや持ち寄って家を抜け出し学校をサボり、うるさい先生に水をぶっかけ、ガミガミうるさい親に灰を投げつけ、最終的には戦車が出てくる、ガチでやりたい放題の家出映画である。


これを見て【懐かしい】と、思う人もいるだろう。
誰しも一度は体験したであろう小さな冒険に心踊ったり、甘酸っぱい片思いに共感したりするだろう。

私はそれが羨ましい。

家を出れば自由になった気になれるその頭と、
やりたい事だけやってれば幸せになれると思ってるその簡素な脳みそと
あと、、、宮沢りえの透明感は本当に羨ましい。素敵。


気に入らないから出ていく、意味がわからないから泣く、納得できないから殴る、怒鳴る、ケンカする。

どれもこれも、子供の時だけ許された特権だ。

私はそれをしてこなかった。
だから今になって何かがこじれている。

だから、自分が親になったら

子供が反発してクソババアだの豚だのpsp買えだの、反抗期のホルモンバランスをバッチリ崩した頃に、
ちゃんと家出させてあげたい。

うるせぇほっとけ!と言われたら、胸ぐら掴んでちゃんと向き合いたい、あわよくば拳で激しく勝負したい。
お互い1発ずつ頬にビンタでもキメたら、殴った時の手の痛みを分かち合いたい。

塾なんか行く前に、ちゃんと目線合わせて話を聞いてあげたい。
かけ算覚えるより早く、自分がいかに愛されて生まれてきたか知ってほしい。
反抗期すぎて「なんか知らんけど気に入らないんや!」というなら、それはホルモンのせいか、すべて妖怪のせいなんや!と、ちゃんとぶつかり合いたい。ぶつかり稽古だ、さぁ、お母さんにぶつかって来てなさい!!と、厚かましいお母さんになって、毎日キャラ弁作ったり平野レミばりにアバウトな料理で食卓を沸かせたい。

もうね、何が言いたいって、
【反抗出来る】って甘えが羨ましすぎて、自分の子供をもし万が一持てる日が来るなら、もし万が一母親になれるものなら、全力で我が子を甘えさせてやりてぇよバカ野郎が!!子供は子供らしく、家出しろ!!そして親を困らせろ!!!だがしかし戦車にのるのは辞めろ!!!素手でこい!!!