あなぐらむ

やわ肌無宿 男殺し女殺しのあなぐらむのレビュー・感想・評価

やわ肌無宿 男殺し女殺し(1969年製作の映画)
3.5
監督作のキャリア的には「行け行け二度目の処女」直前の一作となる。
大和屋竺脚本の云わば配給=葵映画番線向けの商業ピンクなのだが、分かり易い話ではあるが70分は少々冗長で、日活アクション映画の焼き直しから抜け出ていないのが残念な所。
だが、この公開時タイトルは中々イカしていて、山下洋輔の劇伴ともしっくり来る。「裸の銃弾」よりはよほど良い。

女優陣。ヒロインの林美樹は峰不二子を連想させるクールな悪女を好演、葵映画らしい。芦川絵理はプロ鷹、若松プロで活躍。それ故か本作では木俣堯喬の姿も。秋山みちお君も出ている。温泉街ロケは葵映画の定番か。

次元大介のみたいな襲撃犯の相棒に港雄一、吉澤健の、クールになりきれない空回りするぎらぎら振りが作品を乾いた笑いに引き込む。ロマンポルノ初期まで、彼は(一般作へ転出した)藤竜也の影のように存在していく。
中田商店提供のコルト・ガバメントが排莢するカットもあり、中々手は込んでいる。若松孝二の商業的器用さを感じる一本。