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ボヴァリー夫人のRのレビュー・感想・評価

ボヴァリー夫人(1991年製作の映画)
4.6
19世紀半ば、フランスの片田舎に住むエマは父の足を治療するボヴァリー氏を誘惑して結婚するが、夫のあまりの凡庸さと刺激のない結婚生活に嫌気がさして、不倫しまくった挙句、身を滅ぼしていく…というまあありがちなストーリーでシャブロルが作り上げた身の凍るような恐るべき傑作。原作はかなり前に読んだんだけど、その世界観がかなりの部分そのまま展開していく感じなのには驚いた! とはいえ最初の30分はどうノレばいいのか分からず戸惑ってしまってちょっぴり退屈。しかしそれすらも小説の読んでたときと同じ感想という…笑 だがそこを抜けたら、独特の、淡々としながらもいろんなことがトントン起きていくテンポが気持ち良くなってて、いつの間にか作品の世界に引きずりこまれている。このテンポがなによりすばらしい。気持ちいい。女のエゴが少しずつ肥大化していって、どんどんどんどん歯止めがきかなくなり、ついには自分自身が自分のエゴのパペットのような状態になっていき、それに完全にコントロールされてしまってる様子は、もう見てらんない! 嫌んなっていくと同時に、堕ちるところまで堕ちてしまえ! とワクワクする気持ちにもとらわれる。ビョーキっすね、男の乱心はたまったものをどこでもいいからブチまけたいというだらしなさか、単純にガオーと襲いたいというドSなビースト性かのどっちかやけど、女の乱心はビョーキ。感情的に深すぎて底が見えない。そして、いよいよの終盤はホラー級の恐ろしさ! ここまで肝が冷えるとは予想外すぎた! イザベルユペール演技がやばすぎる!ヤバすぎて笑ってもーた! 思えばピアニストも最後ヤバすぎて笑ってまうよな。すごい女優やわ。鳥肌総立ち。シャブロルほんま天才職人としか言いようがない。もっかい見たら、今度は頭から終わりまで楽しめ尽くせそう。また見たい。
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