プレコップ

ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディのプレコップのレビュー・感想・評価

3.7
ジェームズ・ギャグニーの珍芸博覧会

ザッと言えば、偉大なる舞台人ジョージ・M・コーハンのクソガキ時代→老人芝居で騙す若者時代→星条旗振り撒くリアル老人時代の構成。バリバリの愛国的ミュージカルを数々手がける作風を本作の中でも多少自虐的に取り扱っているのが面白い。

ジョージ・M・コーハンを演じるジェームズ・ギャグニーはアカデミー主演男優賞に足るパフォーマンスだが、それはモデルを食って大いに芸をアピールしたことによるものだと感じる。階段のタップダンス降りや老人演技からのド派手ステップなどはクレイジーすぎて彼にしか目がいかず、一人勝ちの様相を呈している。他の出演者だけでなく、モデルであるジョージ・M・コーハンのキャリアにもこの主演男優ほどの魅力を感じられず、その半生を伝えるという試みとは食い違っている感じがする。あと、深夜に大統領からお呼ばれする導入が謎すぎて引っかかった。

個人的にはブロードウェイの街並みを特撮で撮影したシーンがカッコよくて好きだったが、そこで被さるナレーションベースで母と妹の死を伝えるところはドライであっさりしすぎていて引いた。
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