酒もタバコも夜遊びもこなすせっちゃんの新しい女ぶりから触発されたドクトルの行く末が奥さんへの矯正ビンタ。ここでのせっちゃんの先進的な女性像はあくまでも男性の真似をした女性に過ぎず、女の分断を進めただけで家庭の女たちの救いにはならなかったという気がしてならん。後年の小津安二郎作品の女の連帯の表現からは、男の焼き直しの結果ではない、特有の何かがありますね……と問いかけられている気がするけど、ここではその感じはない。
それにしても小津はいつもインテリを小馬鹿している。ドクトルの講義のつまらなさったらないね。でも愛も感じるから最高よね。