らんらん

怒りの街のらんらんのレビュー・感想・評価

怒りの街(1950年製作の映画)
3.5
大学生である宇野重吉と原保美はダーティな副業をしている
頭のキレる宇野がブレーン、ハンサムな原が実行役として
ダンスパーティーに入り浸り素人娘たちをたぶらかし、その後うまいこと金を出させる
真っ当に働くも薄給な学生たちをバカにし、これは頭脳のスポーツだ、と笑い合う二人であった
そんな中いつものように仕事にかかる二人であるが、変化が訪れる、、、

監督は成瀬巳喜男、言われてもあまりそんな感じのしない作品
あまり評価はよくないみたいだけど、個人的にはつまらなくはなかった
ラストがブツ切り?みたいな唐突な気はしたけど、表現したいことは伝わったかと

正直女を弄び金を引き出すクズ男たちのお話なんだけど
深入りしないため、金を引き出す手段のためとかの理由もあるんだけど、貞操は奪わないってのが救い
それでもなかなか胸糞な気もするけど、、、

この作品では宇野重吉がクレジットトップ、主演にあたると思う、宇野重吉が主演なんて初めてみたかも
当初はドクズに見えた宇野だが、実は良心の呵責もあって、仲間に弱いとこ見せたくない的な強がりや、お金が必要な経済事情から実行していたんだけど
中盤くらいから改心、一人で暴走する原保美を止めようとするがうまくいかない

原保美は完璧クズ、、、と言いたいけどそれも家庭の状況とかいろいろあるわけなんですよね、同情はとても出来ないけど、あわれだなって、、、

被害に遭う女性は久我美子、木匠くみ子、浜田百合子たち
久我と木匠は金持ちの世間知らずな娘でまんまと騙されている
浜田百合子は中年のマダム、ハンサムな原保美の体を狙っている
表面ではいい感じの雰囲気の二人なんだけど、内面ではかなりかけひきしてるんだろうなー
勝敗的にはマダムが一枚上手で、逆に弄ばれたみたいな結果に終わる

原保美はハンサムなだけじゃなく頭も良くて、宇野重吉のブレーンっていらないんじゃない?ってこっちも思っちゃったけど、いなくなるとその有り難みがわかりますね
周りへの観察眼だとか、深入りしない慎重さとかその辺が原保美には欠けている

原保美の妹役で若山セツ子が出演、兄による収入が家庭の大きな助けになっているが、やましい事をしているのではないかと疑問を抱いている
おそらくメインヒロインだろうけど、印象度はあまり高くない
相変わらずかわいい!のは間違いなく、回想シーンの女学生姿はやばかった

劇中何度か光クラブ事件について触れられる、学生が闇金を運営して膨大な金を儲けたとかいうお話、原保美は彼らを英雄と称する
気になって調べたら実在した事件で1948年に起こっている、当時としてはタイムリーなお話なんだろうね、なかなか勉強になった

最後に、、、宇野重吉と原保美って当時で30中盤とかなんですね
それが学生服姿って、、、と少し思ったけど宇野重吉の役が従軍経験者、復学ってことよね?もしかして当時はなかなか年のいった大学生って結構いたのかな?まあさすがに30半ばってことはないだろうけど、、、両者とも役としては20代だと思われる
らんらん

らんらん