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デビルズリジェクト〜マーダーライドショー2〜の消費者のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

・あらすじ
田舎町、ラグスヴィルの保安官、ジョン・クインシー・ワイデル
ワイデルはある一家を追っていた
その一家は“究極の悪魔”という異名を持つ殺人鬼一家
若者達の殺害が露見した事から行われた彼らの家からは75件もの殺人に関する記事をまとめたファイルや頭蓋骨を加工した飾り物が発見され、冷蔵庫や廊下にもまた複数の遺体があったのだという
そしてその被害者にはワイデルの兄、ジョージも含まれていた
復讐に燃えるワイデルと保安官達は遂に一家を追い詰め激しい銃撃戦を行うも成果は彼らの息子の1人、ルーファスの射殺と母、マザー・ファイアフライの逮捕のみ
他の家族のメンバー達は逃走や潜伏で行方が知れぬまま…
保安官達の手を逃れようと動く中でも罪を重ね続ける一家
手段を選ばず兄の仇である彼らを殺すべく復讐の鬼と化していくワイデル
果たして両者の対決の行方やいかに!
というスラッシャー/クライム作品

・鑑賞理由
先日、鑑賞した「マーダー・ライド・ショー」の続編なので鑑賞

・感想
1作目に比べると話が割と理路整然としていて見やすかった
ただ本シリーズのアイコンとも言える一家の父でピエロのキャプテン・スポールディング(またの名をカッター)が逃亡の為に早々とメイクを取ってしまった事もあり、見世物小屋の主人である彼を中心に放たれるサーカス的な怪しい魅力があまり無くなってしまっていたのが残念だった

一方で一家の面々が一般市民も巻き込んで逃亡していくパートがかなりの尺を占めている事でロードムービー的な新たな魅力が若干生まれていたり、正義を果たす為に一家を追っていたはずのワイデルの復讐が母親、ファイアフライの殺害を皮切りに激しさを増して気付いたら両者の立場が逆転している展開などもあるのでそういう面でも映画としての満足度は前作よりも高い

そしてこれは前作から継承されている部分もあるけど一家の実在のシリアルキラーやスラッシャー映画からの影響が感じ取れるキャラクター性が良い
ピエロ、キャプテン・スポールディングはピエロに扮して何十人もの少年を家に誘い込んでは殺害を続けたPogoことJohn Wayne Gacyを意識してるだろうし、保安官達を“豚”と呼んでカルト(厳密にはサタニズム)を感じさせる落書きを残したりもする一家は女優のシャロン・テートの殺害でも有名なマンソン・ファミリーを思わせる(息子のオーティスが長髪で娘のベイビーが大分ビッチなのもあって)
殺した人間の遺体を加工してマスクや飾り物等を作る、というのはレザーフェイスの元になった事でも知られるEd Geinが元ネタだろう
厨二病真っ盛りの10代の頃にシリアルキラーについて調べたりしていた人間としては割とありがちではありつつもこういうキャラクターにはやっぱり惹かれる

他にはキャプテン・スポールディングの兄で相棒のウルフ・J・フライホイールことチャーリー・アルタモントがいわゆるピンプ(ポン引き)で売春宿を営んでいるというのもシリアルキラーが売春婦を標的としがちな事を思い起こすし、見世物小屋の主人と売春宿の主人が相棒というキワモノ同士の組み合わせが魅力的だった
しかもどちらも寂れ気味で見世物小屋は猿の人形を「猿と人形のハーフ」として宣伝していたり、売春宿の娼婦でチャーリーの恋人であるケイシーが年増だったり、というのも良い味出してた

そんな世界観の中でワイデルの依頼を受けて一家を捜し出すバイカー2人組の片割れ、ロンドを演じるのがダニー・トレホだったり銃撃戦から逃れ逃亡していた一家の子供達、オーティスとベイビーが道中で脅迫した末に殺したのがカントリー・バンドのメンバー達とその家族というのも南部っぽい空気の演出に一役買っていてそういう細かい部分へのこだわりがシリーズの監督を務めたロブ・ゾンビのナードなミュージシャンらしさを感じられるのも良い

最後に触れておきたいのが前作よりもちゃんとゴア描写をしている場面がワイデルが一家を拘束して拷問を加えていくクライマックスにあった事
やっぱりタイトルに“マーダー”と付いてるくらいなんだからゴア描写はちゃんとして欲しかったのでそこは嬉しい変化だった

・総括
一応ホラー/スラッシャーに該当する作品だけど恐怖やゴア、不快描写などはそこまで多くなく、それを全体に流れる独特の雰囲気でカバーしているし、最初に書いた様に観やすくなっているという感想
更なる続編、「スリー・フロム・ヘル」も近々観るつもりなのでどんな世界観になっているのか期待
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