ひろ

点子ちゃんとアントンのひろのレビュー・感想・評価

点子ちゃんとアントン(2000年製作の映画)
5.0
ドイツを代表する児童文学作家エーリッヒ・ケストナーが1931年に発表した原作を、「ビヨンド・サイレンス」で世界的注目を集めた女性監督カロリーヌ・リンクが映画化した作品

またまた見つけちゃいました傑作!
世界のどこの国でも、長く愛されている作品っていうのはすべからく面白い。

そんな愛される児童文学作品をカロリーヌ・リンク監督が、親の職業などを現代的な設定に置き換え映画化。原作にある作品の根幹を歪めることなく素敵な作品に仕上げている

裕福な家に育ち明るく元気で、ちょつぴり大人っぽさもある点子ちゃん。大好きな家政婦のベルタと家庭教師のロランスがいつも一緒だけど、仕事で忙しい父親と貧しい子供のためにボランティアと言って、自分の家庭をかえりみない母親には、いつもさみしい思いをさせられている。

親友アントンを助けようって気持ちに一点の曇りもなく、自分の寂しさを取り合えずそっちのけにして、アントンのために頑張る点子ちゃんは素敵すぎる

アントンは大好きなママのために寝る時間も削って働いて、ママのために悪いこともしちゃうけど、本当に思いやりのあるいい子なんだよね

点子ちゃん役のエレア・ガイスラーちゃんとアントン役のマックス・フェルダー君は、2000人の応募から選ばれた子役。2人ともよかったけど、特にエレア・ガイスラーちゃんは今まで観てきた子役の中でも一番かも

ころころ表情のかわる点子ちゃん。両親のことで、寂しくなって落ち込んで、泣いて、怒って。ベルタとロランスと一緒に笑って。アントンのために一生懸命。子供らしい無邪気さと大人っぽい一面も持ち合わせるバランスが絶妙。

登場人物全てが悪意のない人なんていう子供だましの作品と違って、自己中な母親や仕事人間の父親、いじめっこなどの登場人物がいることで、点子ちゃんの輝きが増している

いろんな騒動を乗り越えて、ラストに点子ちゃんがつぶやく一言は感動的

この前紹介したフランス映画「ずっとあなたを愛している」もそうだったけど、ラストに全てを物語っている台詞を持ってくる終わり方は印象に残るね

ドイツ映画っぽくなかったけど、今まで観たドイツ映画で一番よかったかも
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