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ハムレットのtheocatsのレビュー・感想・評価

ハムレット(1964年製作の映画)
4.2
うーむ・・原作の香りを知らない人間であるが、見進めるほどに映像やセリフ回しに魅了され、「これは面白いのでは?」と感興も高まっていった。
西欧映画のハムレットやオフィーリアなどを見た記憶はあるが、豪華絢爛な衣装やセットではあっても肝心の中身が薄く思われ、深い印象としては残っていなかった。
ところが、モノクロ1964年製作のソ連映画である本作は、ロシア語でありながら原作精神を体現しえている、かなりの「本格派ハムレット」と言っていいようにさえ思われた。
なんて、原作を読んだことのない人間が言っても説得力がないのだがね。苦笑
それに全部のハムレットを見切っていないのでなおさら・・・

それはともあれ
息子の王子に自らの暗殺死の真実を伝えようとする亡き王の霊の場面。
狂気を演じて父王暗殺の核心を探り出そうとする王子役の演技。
王子の恋人でありながら復讐に燃える狂気偽装の王子に冷たくあしらわれ、彼に父親を殺され、本当の狂気状態のまま溺死したオフィーリアの可憐さ・・・

そういった演出や役者陣の見せどころも充分あったという印象。

惜しむらくはモノクロではなくカラーであれば良かったのだが、こればっかりは仕方ありますまい。

おっと忘れていたが、音楽がまた素晴らしく「なんかショスタコーヴィッチみたいだな・・・」と感じていたが、映画終了後の映像特典でやはりそうだったと知り、「ショスタコが映画音楽というのもすげぇーな・・・」と深い感慨に浸ってしまったよ。
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