コーカサス

初恋のコーカサスのレビュー・感想・評価

初恋(1951年製作の映画)
3.5
“安心できるのは、秘密を知る者と知らぬ者”

ハリウッド進出以前の、所謂あの不朽の名作『ローマの休日』(53年) で一躍スターの座に駆け上がる前のオードリーを堪能出来るイギリス時代最後の作品だ。

物語は1930年代のロンドンを舞台に、独裁者へ抵抗運動を続けていた父親が獄死、悲しみに暮れる間もなく、姉マリア(コルテーゼ) と共に暗殺計画へと巻き込まれてしまう重要な役柄を担っている。

以前レビューした『素晴らしき遺産』(51年)では “煙草売りの娘役”としてほんの僅かな登場シーンだったが、本作では準主役ということもあり、中でも美しく華麗なバレエ・シーンはまだまだ原石ながらも眩い光を放ち、“オードリー・ヘプバーン”という偉大なる女優のスタア性を充分に垣間見ることが出来る貴重な一本と云えるだろう。

83 2022