高橋早苗

ミツバチの羽音と地球の回転の高橋早苗のレビュー・感想・評価

3.0
2009年 祝島

ひじきを取る若者
数年前 戻ってきた
島の中では 最年少の大人だという30代

その彼が
まだ小さなこどもだった頃から続いているという
下関原発建設反対運動


ドキュメンタリーって
ともすれば途中うとうと・・・もあるけど
気になってしょうがなかった
テロップが
2009年とか2010だから


で、今は?
どうなってるの???
原発作るの?やめるの?
って。


建設予定地は対岸の島
目の前の海は
島民にとって大切な漁場で

原発建設により埋め立てられ
7℃も高い排水が
毎日何万と海に流されれば
生態系は確実に変わる


議会
県庁
現場
・・・日々の暮らしの時間を割いて
あらゆるところへ出掛けていく
反対住民たち


集会場で
昔はみんな仲良しだったのに
今は
何するにも
(反対派と推進派で)分かれてしまって・・・
とにっこり笑いながらもぼやく
おばさんの声が印象的だった


反対する者がいれば
賛成する者がいる
ここには推進派は登場しないが
どんな気持ちなんだろう
話を聞いてみたいと思った



スウェーデンの
持続可能エネルギーが紹介されている

電気自動車を運転する 若いパパは
日本じゃ電気を選べないと知り
信じられない
という顔をしていた


それが現状なのよね・・・
スウェーデンが進んでいるのは
初めに決断したからだ
持続可能を選択したから
ベースを決めてしまったから
後はじゃぁどうしようかと
アイディアが溢れてくる


島に戻った彼も同じでしょ
戻ることはともかくも決めた
後はどうやって食べていこうか
ひじき
びわ
・・・自然と島の恵みに目が行くよね。

休耕田でブタを育てる人
各家庭から出るごみをエサに
荒れた土地を掘り起こすブタ
家畜を育て
土も育てる


父親は推進派だったという
責任も感じると話す彼が
失礼ながら若者じゃないというところに
希望を見た
・・・いい年になってから
帰ってくるというのもアリなんだな


人は住む場所を選べる
それはそこに「住み続ける」という選択も含む

ひとつ処に留まる事ができない放浪癖や引っ越し魔は別としても
人が住まいを変える時の多くは
 仕事が変わる
 家族が増える
ともうひとつ
 生まれ育った土地へ帰る
があると思う。


帰る帰らないの選択は
個人のものだが

帰れない故郷ほど
ツラいものはないだろう


いま
原発をつくるということは
帰れない故郷をつくるのと
同義じゃないのかな。


反対住民の前に立った中電は
「第一次産業だけでやっていけると思ってるんですか」
と言った

第一次産業をないがしろにして
食糧を
ひたすら外国から買い続ける国に
安心できる未来はあるのか。
高橋早苗

高橋早苗