日本のハードコアシーンを代表するバンド、bloodthirsty butchers。
密着、インタビュー、ライブ映像などを交えて、その「今」を描き出したドキュメンタリー映画。
ひりつくようなリアリティがすごい。
ただバンドを持ち上げるような映画じゃないし、メンバーたちの青春群像でもない。
バンドをやる、ロックで飯を食うってのはきれいなことだけではない。
音楽と生活の板ばさみ、メンバー間の軋轢、上手くいかない苛立ち…
彼らのリアルが伝わってくる。
吉村秀樹は言う、「伝説になりたくない」と。
もちろん常に前のめりでいたいという思いからの言葉なのだろうが、
同時に「認められたい」それこそ「売れたい」という気持ちも含まれていることへの自嘲にも聞こえた。
でもやっぱり譲れない思いもある。
不器用で純粋な、それが吉村秀樹なのだろう。
メンバー同士ぶつかりながら、それぞれの思いを抱えながら、
それでもバンドとしてひとつの音を目指していく。
ただの仲良しグループではない、1本芯の通った関係性が浮かび上がってくる。
そういった色んなことが集まって、ブッチャーズというバンドは成り立っている。
だから彼らの音はいつまでもキラキラしていて、胸の奥の方がじんわりと熱くなるのだ。
そんな様子を見ていると、本作はただバンド映画というだけではなくて、
生きていくことの根本が凝縮されているようにも思えてならない。