真鍋新一

青春ア・ゴーゴーの真鍋新一のレビュー・感想・評価

青春ア・ゴーゴー(1966年製作の映画)
3.6
エレキとGSブームに便乗した青春映画なんて粗製濫造の最たるモノでほとんど見るべきものはないだろうと思いながらも、探せばやっぱり良いものがある。これもかなり真っ当な音楽映画だった。

音楽映画としてのレベルを上げているのはやはり、主演俳優の山内賢と和田浩治が本当に楽器を演奏しているからこそ。特にマシンガンのようなリズムを繰り出す和田浩治のドラムは個性的かつ上手い。私生活が一切描かれない謎のビート少女(ジュディ・オング)も粋な歌声で映画を盛り上げてくれる。

主人公たちのエレキバンドがコンクールで優勝して、東宝の映画だったらさっさとデビューしてひと騒ぎするところなんだろうが、この映画ではなかなかレコードデビューにならず、映画の世界だろうと地に足のついた現実的な感覚を捨て去らないところが日活の青春映画の愛すべき点だと思った。

ところで、「絶対に決まっている」という意味で使われる「決まりきんちゃく」という言葉は本当に当時の若者言葉として流行っていたものなのだろうか。あとは山内賢の妹役の太田雅子(=梶芽衣子)のキャラのブレなさ。幼い頃から大人の女性になるまでフィルモグラフィが永遠に残ることの尊さを感じた。
真鍋新一

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