菩薩

ヨシワラの菩薩のレビュー・感想・評価

ヨシワラ(1936年製作の映画)
3.4
立派な日本庭園になぜかフラミンゴ(?)がいたり、ギターの音が出る三味線をつま弾きながらシャンソン歌い出したりと、言い出したらそんな違和感はキリが無いのだが、ドラマ自体は至極真っ当な叶わぬ愛×2だし、むしろ妙ちきりんな世界観だからこそこの「紛い物としての美」ってのが際立つもんで、新婦コハル不在の中セルジュ単独で行う結婚式のシーン、自らを見立てたロウソクがパタリと倒れるとこなんて、狙ってやってんだとしたらなかなかのもんではないかと思う。正直セルジュ×コハルより、イサム→コハルの物語の方が身に詰まるもんがあり、貧乏ながらなんとか見受けを…と、全財産博打に叩いてすっからかんになった後、胴元から強奪してまでやっと手にしたジャリ銭が柵越しにボロボロと手から零れ落ちるシーンなんて、虚しく虚しくてもう…イサムちゃん(´;Д;`)と俺もボロボロ涙を零して、はいない。終盤がやけに省略に次ぐ省略でちと盛り上がりに欠けた気がするが、横のおばさんは号泣してたし、多分終わり方としても良かったのだと思う。叶わぬ幸福な新婚生活が背後のペラッペラの舞台装置に移し取られていくとこ、フラグ感満載で好き。
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