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セーラー服と機関銃のbluetokyoのレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)
3.7
2024年2月2日 19:00~ tvk 
相米慎二監督の長回し連発。当時見ていたら、ただのアイドル映画なんだろうけど、いま、見ると、この長回しが時代の、というか、高校生の青春の雰囲気を実にうまく表現していて趣深い。再評価されてもいい作品だ。惜しむらくは、やはり角川映画ということで、ストーリーが無駄にゴチャゴチャし過ぎている点だ。また、出演している俳優さんが、本当にそうそうたる顔ぶれ。ただ、アップではなくロングで撮っていて、誰が誰だかわからない。でも、それでいいのだ。いちいち俳優の紹介なんてやっていたら、映画が陳腐なものになっていただろう。相米慎二監督の英断だと思う。

簡単にあらすじ。
冒頭は、星泉という女子高生の父親が交通事故で急死したところから。星泉は父子家庭なので、一人になってしまった。だが、すぐに、父親の愛人だという若い女、三大寺マユミが家に上がり込み居座る。

そんなことをやっているとき、ヤクザ、目高組が泉を迎えに来る。なんでも、組長がなくなったのだが、血筋的に、泉が次期組長になる、ということだった。仕方なく引き受ける泉。

家に帰ると、家探しされて荒らされていた。やって来た黒木刑事(実は悪徳刑事)の言うには、父親はヘロインを密輸した。だが、そのヘロインが行方不明。ヤクザの太っちょと呼ばれている組長が探している、ということだった。

そんなことをやっているうちに、泉は、太っちょに拉致される。目高組の佐久間は、実は、三大寺マユミが、太っちょの娘だと知り、三大寺マユミを連れて、太っちょのところへ。

実は、三大寺マユミもヘロインを追っていたのだ。三大寺マユミはヘロインを見付け、ローションの中に隠した。
それを知った、悪徳刑事の黒木刑事は、泉の家にヘロインを取りに行く。太っちょは、娘の三大寺マユミに射殺される。

ところが、黒木刑事は、別のヤクザ、浜口組に殺され、ヘロインは横取りされた。

泉と佐久間は、浜口組へ殴り込みをかける。機関銃を乱射して、ヘロインの入ったローションの瓶を粉々に破壊する。

泉と佐久間の二人だけになってしまったので目高組は解散する。

暴走族のバイクに泉が乗るシーンは、圧巻の長回し。どっかで一つのカットとして区切れると、見ている誰もが機械的に思い込むわけだが、そのままずるずるとカットは引き伸ばされ、さらにあり得ない構図で、バイクは走り出す。これって、映画世界ではなくて、現実? そう錯覚してしまうわけだ。長回しは、映画の手法を逆手に取ったリアリズムである。

あと台風クラブにも出てくるシュールさもある。埋もれた名作映画だ。
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