三樹夫

セーラー服と機関銃の三樹夫のレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)
3.2
角川映画で相米慎二が放つアバンギャルドアイドル映画。ストーリーは女子高生が弱小ヤクザ事務所の組長になり抗争に巻き込まれるというものだが、性的なものがやたらぶち込まれており、少女が性的なものを知って成長みたいなことになっている。
相米慎二の作家性が強い映画でもあるが、訳の分からない映画にアイドルぶち込んでその中で必死に頑張っている姿にファンは萌える、角川春樹の願望かというような中年オヤジと少女の恋など、角川映画でよくあるアイドル映画の手法が散見される。
相米慎二は『台風クラブ』の裸踊りや『お引越し』のパンチラなどロリコン疑惑があるというかぶっちゃけロリコンだと思うが、宮崎駿といい大林ノブといい、作品の中で少女にオギャり出すのはロリコン監督の習性なのか。今作では薬師丸ひろ子は少女であり母親であるという、ド直球のオギャりシーンがある。しかも包帯巻いてるのが絶対性的なメタファーだろというのがプンプンで、しかもその時の衣装が薄手の白のパジャマなのでパンティラインが見えるというネチっこさ。
ひろ子のファーストシーンからして、セーラー服でブリッジしているのでお腹が見えるという、初っ端から性的な匂いを漂わせている。例えば他のセーラー服衣装だと『スケバン刑事』や新しい学校のリーダーズは下にインナーを着てお腹が見えないようにしているが、この映画はセーラー服のシーンでは下にインナーを一切着ていないのでお腹が見えるようになっている。
渡瀬恒彦と風祭ゆきのセックスを目撃したり、寺で童貞がどうだのという話をしていたり、部分部分で性的な作品なんですよというのが仄めかされており、最後はひろ子が赤のハイヒールを履いているのも意味深だ。
登場人物の全員がひろ子に興味を持ち、性的な匂いのちょっかいを出してくる。コンクリート漬けの拷問はもはやたけし軍団かと思うが、あれで興奮する変態もいるのだろう。極めつけは三國連太郎が変態の役を演じていて、死と隣り合わせこそ快感みたいな変態有段者なこと言っており、ここでエロスとタナトスが完成する。完成したからってどうだって話ではあるが。そんな三國連太郎がひろ子に対して出す己の性癖発露ちょっかいは、地雷の上にひろ子を立たせるという相変わらずの変態有段者なのであった。この映画ってひろ子が監督を含めた変態どもに酷い目に遭わされる映画なんだよなぁ。

冒頭の車内の会話、連れてきた医者が獣医やオンボロの車など、コメディ要素が原作の段階ではあるんだろうなと思うが、そんなもんは早々にぶっ飛ばして訳の分からないものになっていく。
とにかく度肝を抜いてくるのがロングでの長回しで、アイドル映画なのにひろ子の顔があまり映らない。つーか役者もあんな長回しされたらやることなくて困りそう。印象としては演劇のような感覚を観ていて覚える。ロングの長回しをどうやって成立させているかにはやはり役者の演技というか声が重要になっており、相米慎二が役者にやたら厳しいと言われるのも演技へのこだわりがあるのだろう。
同級生の中に少年時代の柳沢慎吾がおり、まさに柳沢慎吾の少年バージョンみたいな出で立ちですぐに柳沢慎吾だと分かった。後、柄本明がジジイじゃない。
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