Chris

セーラー服と機関銃のChrisのレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)
3.1
小説が面白かったためこの映画を観たのだが、改編されている部分が多く残念だった。あまり意味のない変更が多く、悪いように作用していると感じた。
最も違和感を感じたのはマユミの物語上の立場だ。なぜか原作でそこまで重要じゃなかったマユミという人物が物語とキーとされている。別にそれ自体が悪いわけではない。しかしそのせいで泉ファンクラブの三人や組員の活躍が減り、むしろいない方がいい存在だった。
また映画であるため小説では登場人物の心情を文字で読み取れるところを映像で描写しなくてはならない。その描写を省いているために登場人物の行動に疑問を抱くことが多かった。さらに急展開も多く、置いてけぼりにされる感覚だった。
カメラワークに対しても不自然に感じる点が多々あった。やたらと引きでの画角の長回しのシーンが多くて俳優の表情が分かりにくい上に長いので退屈になった。割と重要なシーンでその画角で撮られているので、敢えてしているのかもしれないが、チープに感じて個人的には好きじゃなかった。
原作を神格化して、映画を悪として扱うのは間違っているが、せめて敬意を払って新しい解釈ができる程度の改変にとどめて欲しいと思った。やはり映画化は誰もが納得のいくものにするのは不可能に近いのだと感じた。
Chris

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