フジマークス

天国の日々のフジマークスのネタバレレビュー・内容・結末

天国の日々(1978年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

基本的に視点ショットは少なくて、とりわけ観客と同一化させられる主人公というのもいないように思える。むしろ金持ち男の心情描写が多くて、金持ち男の心理的動機が因果となって主人公3人の行動や運命が左右される。
「眠ると麦畑が話しかけてくる」という少女の語りがあったが、麦畑はすごく綺麗だった。しかし火がつくと恐ろしい。麦畑に炎が立ち上り、画面全体で激しくうごめく。カメラは水平に広がる炎を横移動でとらえ、その手前に人間の陰が右往左往している。
主人公たちはやはり環境に翻弄される続ける。突然現れる大量のバッタ。バッタ映画。砂嵐のように画面を舞い尽くすバッタの映像はすごい面白いし、麦を食べるバッタのクロースアップも印象的だった。そのバッタが契機となって主人公たちの運命は大きく変化する。
冒頭にあった、列車の上にたくさんの人が乗っていてそれを横移動でとらえたショットも良い。3人で列車に揺られてたあの時間が1番良い時間だったんじゃないかと思ってしまうけど、カメラは彼らの労働の苦しさも淡々と捉えていた。
少女のボイスオーバーが所々挿入される。物語内のどの時点での語りかはわからないが、『天国の日々』としての過去を語っていて、映画全体にノスタルジックな装いをもたらしていたように思う。
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