マーくんパパ

天国の日々のマーくんパパのネタバレレビュー・内容・結末

天国の日々(1978年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

職を求めて流れ着いた小麦収穫作業の期間労働、広大な大地に穂を垂れる黄金色の小麦、その彼方に立つお城のような農場主の館、束の間の職を得たもののビルと恋人アビー、妹リンダの3人連れは貧富の違いをまざまざと感じる。この辺りは『怒りの葡萄』とよく似た設定だが、暴利を貪る悪徳資本家と違いこの独身農場主チャックは病を抱え余命一年の孤独な身の上。ビルは恋人アビーを妹と偽って働いていた為、農場主は知らずにアビーを見染めて結婚を申し込む。アビーが結婚すれば自分も妹もそのまま親族としてこの館に残れる利得に釣られて偽装結婚をアビーに承諾させたビル、しかし2人の関係はその後も続き農場主の知るところとなる…。破綻に向かうまでの束の間の“天国の日々”、騙して居座る悪行を指弾するには酷すぎる宿なし流れ者労働者の悲哀、どうか農場主が知らずに幸せのまま天寿を全うしてくれればと願うがそうはならず悲劇に終わるが、これら清濁の行いを包み込む悠久の自然と荒野の描写がすこぶるイイので静かな感動を呼ぶ名編となっている。こういう映画は好きだな。