たらこパスタ

天国の日々のたらこパスタのネタバレレビュー・内容・結末

天国の日々(1978年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

そこに存在している人々と流れていく時間を干渉せずに眺めているような目線が好きでした!

時代設定が第一次世界大戦はじまり頃で、不景気や大戦による抑圧がある中で、日々の中で個人個人が自由や幸せ、楽しみを見出し躍動する様子や、一方で魔が差す瞬間や不安に支配される様子など、不安でシビアな状況で露出して行く人間性をありありと掬い取ったような作品だと思います!
収穫期に農場に来た労働者たちの夜の宴会や即興的にあるもので行われるタップダンスと演奏のセッションがとても好き!DIYだ〜!!

アイテムが象徴的に使用されたりインサートされたりする点が印象的でした。それらはある感情・概念の対象者となるものに拡張可能性を与えて普遍的な印象を抱かせたり、また、表には見えないところで広がりつつある脅威を代理で可視化ているように思いました。家の屋上でカラカラ回る風見鶏(?)が焦燥を駆り立ててくるような感じで緊張感がありました。

観ているうちにだんだん農場と渡り鳥労働者と重なり合いという2つのグループの対比構造が意識された。
農場主さんは農場という空間に板付され、もはや幽閉されているような感じで、そこに流れる時間に抗えず空間の外にもいけない孤独の中でゆったり流れる時の中で孤独が徐々に充満していく、その過程は表出せず気づいた時には致命的になっている。1匹のイナゴが翌年に大軍と化し麦畑を破壊し尽くしたり、小さな蝋燭の火種はあっという間に制御不能に広がっていく様子はかなり象徴的でした。
一方でそんな農場に根付かず移動するビルたちは過酷な日々であるけど農場主さんにとっては彼らは自由に空を飛べる鳥みたいに見えていたのかもしれないなと思った。でも、鳥は時に空をとぶし同時に殺される場面もあり、特に農場主が鳥を狩るシーンはビルの今後を暗示させているみたいでした。
また、ビルと農場主さんに関しては特に、同じ人物の中にある魔が差す瞬間、多面性が描かれていたのも印象的でした。「1人の人は半分天使で半分は悪魔」←確かに。

リンダの自由な精神、柔軟な適応能力が実現する逞しさ、素敵だった!!彼女の率直でクリアな洞察が伺えるモノローグで話が進むことで作品の魅力がより増していたと感じました!ハスキーボイスも超好きだ!!!

あととにかく自然とマジックアワー、蝋燭の火とか陰影が美しすぎました。曲もめちゃくちゃ好きで、定期的に観て行きたいなぁ
たらこパスタ

たらこパスタ