ぴんじょん

地球の静止する日のぴんじょんのレビュー・感想・評価

地球の静止する日(1951年製作の映画)
4.0
傲慢さが気にならない宇宙人の善意。

大変有名なSF映画。

核を開発した地球に宇宙人がやってきて平和共存をしなかったら、ひどい目に合わせるよと警告してくれます。
でも、国家間の協調ができない地球人は、逆に彼を捕まえようと必死になるばかり。
宇宙人に危害が加えられると、連れてきた無敵のロボット、ゴートが暴れちゃうんで、さあたいへん。

のっぺりとしたロボット、ゴートの造形が意外に不気味だったりして、『禁断の惑星』のロビーと好対照。
宇宙船(円盤)ものっぺりとしていて、継ぎ目もない表面がパカーッと開くところも不気味でいい感じです。

で、宇宙人の力を見せつけるというのが、地球の動力を止めちゃうというわけで、なかなか平和的です。
しかも、病院などの動力は止めないっていう、徹底して平和的な方法。
って言うか、タイトルの『地球の静止する日』って地球上の動力を止めちゃうことだったんですね。

宇宙人が少年とワシントンを散歩しながら、リンカーンの言葉に感動したりして、牧歌的かつ善意に満ち満ちた展開。

宇宙人クラトゥの善意の提案に対して、なんて地球人は愚かなんだろう、国家間の争いだ、核開発だなんてすぐにもやめちゃえばいいのに、と素直な僕は考えちゃうんでありますが…。
よくよく考えてみれば、強大な力をちらつかせて、相手を言う通りにさせようっていう宇宙人の考え方もけっこう傲慢。
そこらへんはいかにもアメリカ的で嫌なんだけど、そうでもしなけりゃ、いつまでも国民を抑圧する悲しい国があるのも事実で、今日においても、なかなか複雑な問題を提起してくれちゃうんであります。

ところで、この作品『地球の静止する日』のリメイクのタイトルは『地球が静止する日』、『遊星よりの物体X』のリメイクが『遊星からの物体X』。日本語、なかなかやるなぁ。

2,211-4
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