rumblefish

地球の静止する日のrumblefishのレビュー・感想・評価

地球の静止する日(1951年製作の映画)
4.2
原子力とロケットの技術は兵器につながり、他の惑星の平和を脅かすとしてクラトゥは地球にやって来る。

暴力的な地球人に状況を分からせるために取った手段が、30分間全世界の電気を止める、であった。ただ、病院と飛行中の航空機は除くという念を入れよう。しょぼいっちゃしょぼいかもしれんが、ニューヨークを焼き払うなんてのも候補にあったし、教授が力の誇示は控え目にしてくれって言うから、“劇的だが破壊的ではない方法”としてチョイスしただけだ。

政治がまったく相手にならんので、学者や各界の代表者を集めて会議を開き、そこでメッセージを伝えるというクラトゥ。

宇宙の現状として、全惑星の相互防衛のために機関を設置して、侵略が起きないようにしていること。そのための警官役がゴートであること。ゴートは惑星をパトロールして、暴力の兆候があれば自動で攻撃を開始する。その結果、宇宙は平和を得て、武器や軍隊は持たず、戦争から解放されるに至っていること。このシステムが完璧とは言わないが、平和のために機能している旨が説明される。

そして地球に対して二つの選択肢が示される。“我々の仲間となり平和に暮らすか、今の道を進み滅亡に直面するか”

この提案をどう考えるのか。
ロボットに監視された平和。ゴートは惑星を丸ごと破壊する力を持っている訳で、地球上のいずれかの国があやしい動きをすれば、問答無用で地球ごと破壊される恐れがある。おそらく弁明の余地はない。こんな社会が平和と言えるのだろうか。

だが、ゴートほどの力はなくとも、平和の条件をプログラミングされたミサイル発射システムなんて、技術的には出来てしまうのかもしれない。

人間性もクソもない気がするが、ウクライナとパレスチナを見ていると、やるせなさが募る。