このレビューはネタバレを含みます
誰がどうみても強そうでたくましい筋肉質の大男が主演で、銃撃描写もあるのに反戦、反核、ノンバイオレンスのメッセージが組み込まれているアクション映画。女性は生命を生み続け、男性は争いごとを…本当にそうだと思う。シュワちゃん強くてカッケーだけで終わらせず、この映画の哲学を肝に銘じたい。
台詞メモ
ロサンゼルス西暦2029年、30億の人命が核戦争で失われた1997年8月29日。生存者はこの日の事を〝審判の日〟と呼んだ。彼らの悪夢はさらに続いた。機械との戦争である。敵の頭脳、コンピューターの〝スカイネット〟は2体のターミネーター(殺人機)を派遣。殺害の目標は〝人類の抵抗軍リーダー〟私の息子のジョンである。最初のターミネーターはジョンが生まれる前、1984年に私の命を狙い、失敗した。第2のターミネーターの目標は少年に成長したジョン。抵抗軍はそれに対しまたも1人の戦士を送り出した。こうしてジョンをめぐる死闘が始まった。
「服とブーツとオートバイをよこせ」
「興味深い患者です。29歳の女性で症状は、かなり強度の統合失調症と診断されています。鬱病状、凶暴性、神経錯乱、被害妄想。彼女の妄想はユニークです。〝一見人間に見える殺人機ターミネーターが未来から彼女を殺しに来た〟と」「ユニークですね」「そして自分の息子の父親は〝彼女を守ってくれた兵士だ〟と」「ユニークですね」「彼も未来の人間で確か2029年に未来世界から派遣されたとか…この病室です」
「ママか？」「ああ」「イカすじゃんか」「頭がイカれてる。警察病院の精神病棟にいるよ。コンピューター工場を爆破しかけてね」「マジかよ」「〝廃人〟だってさ」
「あんたターミネーターかい？」「イエス、サイボーグ101型だ」「まさか…驚いたな、本物だ。つまり…皮膚の下は機械で外は人間」「金属の骨格を生きた組織で覆っている」「…信じられない。しっかりしろジョン。OK、僕を殺しに来たのではないらしい。目的は？」「君を守りに来た」「そう？誰の命令で？」「君だよ。35年後の君が今の君を守れとよこしたのだ」「複雑だな」
「さっきの奴もターミネーター？」「あいつは〝T-1000〟最新型のサイボーグだ」「あんたより強いの？」「素材は形状記憶疑似合金だ」「何の事？」「液体金属さ」
「つまり、あいつは何にでも姿を変える事ができるのかい？」「手で触れるものなら」「タバコの箱みたいに小さな物にも変身を？」「自分のサイズだけだ」「自分の背丈の爆弾に？」「部品や薬品を必要とする」「複雑な機械にはなれない。ただの金属には変身を」「例えば？」「例えばナイフ類だ」
「1984年に西警察署の監視ビデオが撮った写真だ。17人の警官が殺された。皆、家庭持ちだ。子供も…」
「ママは元グリーン・ベレーの隊員で銃の密輸をやってる男と付き合ってた。僕を指導者に育てようと他にもそういう男達と。こっちに戻ったら逮捕。そのまま精神病院行き。それまでの話が全部うそに思えてママを憎んだ。でも本当だったんだね。なのに誰もママを信じなかった。僕さえも…。ママを救い出そう」「T-1000はきっと君のお母さんに変身して待ち受けてる」「ママはどうなるの？」「コピーされた者は殺される」「大変だ！それを早く言えよ！」「〝NO〟だ。君の安全が先だ」「ママの安全が先だ！早く何とかしなきゃ！手伝ってくれよ！」「命令と違う」「手伝ってくれよ！」「誰かこいつを捕まえて！こいつは誘拐犯だ！この手を放せ！…痛いじゃないか！」「〝手を放せ〟と」「僕の命令に服従を？」「そう指令されてる」「よし、片足で立て」「YES！僕の命令を聞くのか」
★「殺すとこだったぜ」「おれはターミネーターだ」「いいかい、よく聞けよ。君はもうターミネーターじゃない。人を片っ端から殺そうとするのはよせ」「なぜだ」「なぜっていけないんだよ」「なぜだ」「いいから僕を信じて。僕はママを助け出しに行く。手伝ってくれ。命令だ」
「面会は時間は月曜から金曜の10時から4時だ。アァァ！」「約束したのに！」「チクショウ！撃ちやがった！」「殺してない」
★「傷の処置は知ってるの？」「人間の体の事は勉強を」「でしょうね。プロの殺し屋ですものね」「まあね」「打たれると痛いの？」「感覚はある。それはデータに残る」「明かりを。この傷は治るの？」「ああ」「よかった。機械だとバレたら大変よ」「寿命は？死ぬ事はあるの？」「パワー電池の寿命は120年だ」「プログラムされてる以外の事を学べるの？いろいろ学んで人間にもっと近づく事が？」「おれのコンピューターは無限にものを学ぶ。接触すればするほど人間の事も」「すごいね」
「捕まらぬように時速100キロで」「了解」「よせよ、そんな堅苦しい言い方。〝了解〟なんて普通言わないよ。せめて〝問題ない〟と。何か頭に来たら〝ブッとばすぞ〟でなきゃ〝地獄で会おうぜベイビー〟」「地獄で会おうぜベイビー」「〝消えなチンポ野郎〟〝頭冷やして来な〟とか混ぜて使うんだよ」「頭冷やせチンポ野郎」「そう、その要領だ」「ノープロブレム」
★「皆死ぬんだろ？一人残らず…」「自ら墓穴を掘る」「そうだな。人間はバカだね」「〝スカイネット〟を作った人間って誰なの？」「直接関わるのはマイルズ・ダイソンだ」「誰なの？」「サイバーダイン社の特殊企画部部長だ」「なぜ彼が？」「数ヶ月後に彼がマイクロ・プロセッサーを開発」「それから？」「3年で同社は軍事用コンピューターのトップ企業に。爆撃機はすべて無人化して正確無比の目標攻撃を行えるようになる。スカイネット法案は議会を通過、1997年8月4日に実施。人知は戦略防衛に無用となりスカイネットは一人歩き。そして8月29日、スカイネットは自分のもつ力を認識。人間はパニックを起こす」「そして戦争が勃発」「YES、まずロシアをミサイル攻撃」「今では友好国だよ」「ロシアと米国に相討ちをさせる気なのさ」「そんな…ダイソンの事を」「データは持ってる」「全部知りたいわ。容貌から住所まであらゆる事を」
「ママはすごいだろ？いつも先を読んでる」
★「本当のパパに会いたい」「会えるよ」「そうだな。その頃、僕はもう45歳。僕がパパを1984年の世界へ。パパは…今はまだ生まれてない。頭がこんがらかるよ。ママはパパとたった一晩…でも、まだ愛してる。時々泣いてるよ。ママは目にゴミが入ったとごまかすけど…」「君らはなぜ泣く」「人間のこと？」「ああ」「さあ…自然に涙が出る。傷ついた時に…」「ケガの痛みで？」「いいや、そうじゃない。ケガじゃなくて心が痛むんだよ」「分からない」
★ジョンと遊ぶサイボーグ…私は突然理解した。ターミネーターは片時もジョンから目を離さず彼を守る。どなりも酒に酔いもせずジョンを守ってくれる。そして、いざとなれば命を捨ててジョンを守る。父親代わりの男は大勢いたが、本当にその役を果たせるのはこのマシーンなのだ。この正気でない世の中で唯一確かな事だ。
★「〝運命ではない。人生は自分で築く〟パパが残した言葉だ。未来の僕がパパに教えたんだけどね。とにかくこういう事だ。未来は運命が決めるものではない。自分の手で切り開くんだ」「母さんは未来を変える気だ」「たぶんね…大変だ！」「ダイソンの所へ？」「そうだよ。ダイソンの所だ。奴を消す気なんだ！行って止めなきゃ！後を追おう！」
「ママを止めなきゃ…」「戦争の阻止も」「言ったろ！人を殺すのはよせ。例えダイソンでもね」
「僕を見て」「ジョン、私を止めに来たの？」「心配しないで。別の阻止方法を考えよう。いいだろ？」「私を止めに来たの？」「そうだよ」「愛してるわジョン。私の生きがいよ」「分かってる」
★彼はダイソンにすべてを話した。〝スカイネット〟〝審判の日〟〝未来に何が起こるか〟そして30億人の人命が彼のせいで奪われる事を。ダイソンは聞き入った。「何だか吐きそうだ。君らはおれが未来で行う事を責めるのか。今責められたって…」「そうね、未来の事を責めるなって言うの？そうやって人は水爆を作ったのよ。未来を見てないあんたのような人が…自分ではクリエイティブだと。あんた達が一体何を作った？生命を創造した？女の胎内に生まれる生命…あんた達が作るのは死」「ママ、そんな話をしてる場合じゃない。戦争を阻止せねば…」「でも、物事の流れを変えるんでしょ？」「新しいプロセッサーの開発は全部忘れよう。会社も明日限りで辞める」「それだけではダメよ」「誰かが引き継ぐ」「ああ、そうだな。研究所にあるすべての資料と試作品を破壊しよう。何もかも跡形なく。そうだ、あのチップも」「何の？あんたの同類から入手を」「最初のターミネーターか」「やっぱりあいつが！」「入手経路は極秘だった」「汚い連中だわ！」「酷く壊れてて機能しないがあれを参考に画期的な研究が実りつつある。おれが研究担当を…」「抹消せねば」「その保管場所へ案内を」「やってみよう。いつ？…今すぐ？」
未来は今や先の見えない夜のハイウェイ。我々は未知の領域に踏み込み歴史を作ってゆくのだ。
「お客だよ」「警察か？」「何人？」「全署員さ」「後は私に任せて」「行こう」「警察は食い止める」「あの誓いは？」「信用しろ」
「地獄で会おうぜベイビー」
★「終わったわ」「まだだ。ここにもチップが…これも始末するのだ。さあ…自分では出来ない。おれを溶鉱炉の中へ」「イヤだ…イヤだ！」「そうするのだジョン」「やめろ！」「イヤだよ、行かないで！」「頼む」「イヤだよ、行かないで！」「仕方ないのだ」「やめて、行かないで！」「すまない」「やめて、お願いだ！」「あきらめろ」「僕の命令だ。やめろ、僕の命令だ！」「泣く気持が分かった。泣く事は出来ないがね」
★目の前には未知の未来が…だが今は希望の光が見える。機械のターミネーターが生命の価値を学べるなら我々も学べるはずだ。
