Tai

無法松の一生のTaiのレビュー・感想・評価

無法松の一生(1943年製作の映画)
4.5
午前十時の映画祭にて!

これくらい古い作品を観られるのが、個人的な午前十時の映画祭の推しポイントなんですよね。
レンタルとかでも観れないような名作と出会えるのが貴重な体験になります٩( ᐛ )و

物語は暴れ者の「無法松」で知られる人力俥夫・松五郎のお話。
ある日、怪我をした少年を助けたことで、その家に招かれる松五郎。すっかり少年の父親に気に入られます。
しかし、少年の父親は急逝し、残される少年とその母。
以降、親子と関わり過ごすようになっていきます。

タイトルに〝一生〟とあるので、何年にもわたる物語なのですが、年月の経過を伝える表現が観ていて心地よかったですね!
少年の成長や季節ごとの行事等はもちろん、
松五郎が押す人力車の車輪がクルクル回る映像を重ねることで、時の流れを非常にテンポ良く感じることができました。

そもそも「無法松」て、なにをどれだけやらかした男なんだという通り名ですが、そんな人間がニカッと笑って少年に優しい声で語りかけるというシーンを観ているだけで心温まりますね!
もう年々、人情物に弱くなっていく…

1943年という太平洋戦争真っ只中に公開した作品。
検閲厳しい中での戦争とは別路線の作品であり、国の意向に反した表現の部分をカットされています。
そのカットシーンは作品の10分の1(約10分程度)とか。
それだけ取り除かれているのに、公開当時の興行・評価ともに〝名作〟とされたという完成度は、それだけ骨太な物語だったということでしょうか。
その検閲用に再編集したのが監督自らということが評価に影響してるのは間違いないですね!
その悔しさを考えると時代を恨まずにはいられませんが…

最初にチョロっと解説ドキュメンタリー的なのが入ってからの本編だったので、「本当だったら…」と考えると本当に惜しい作品ですね。


来週は本来のシナリオで、主演に三船敏郎を迎えた1958年公開版が観られるということで、コレもまた楽しみです(*´∀`*)
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