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皆殺しの天使のxavierのレビュー・感想・評価

皆殺しの天使(1962年製作の映画)
3.7
人間は自由ではない…
十数人もいた召使いたちが宴の支度を終えるや執事のフリオを残して、そそくさと立ち去った広大なノビレの屋敷。夫妻の招きでオペラ帰りの客たちや歌手のシルビアにピアニストや指揮者らが立ち寄り和やかな雑談が始まるが、それも束の間、彼らは誰一人としてそこから帰れなくなり…
ストーリーはこんな感じ。
不条理映画としては有名らしいルイス・ブニュエル監督作品。
まぁ、あらすじを読んだだけでも良く解らないんだけど、作品を観ても良く解りません。なので考察を読んでみると、いろいろ出てくるんだよね。ブルジョワ批判作品だとかシュールレアリズムだとかね…
で大方の意見としては、場の雰囲気を壊すのが嫌なので、先に帰る事が出来ず、それがずっと続いてああなった…ってのが多い

作品の最初のシーンで仕事を辞めてまでも帰りたいって召使いが出てくる。
"こりゃ、何かあるんだなぁ"
そして召使いたちは自分の作業が終わるとある人物は、フリオの目を盗んで帰ったり
ある人物は用があるから帰るという。でも全ての召使いに共通しているのは辞めてでも帰りたいという意志なんだよね。
そして最後に出ていく召使いがボソッと言うんだわ
「明日は入れない」って
これは個人的考えなんだけど、これを踏まえると何らかの力がそうさせてるとしか思えないんだよね。そしてその力はブルジョワの人たちには気づけず、貧しい人には気付ける力だったんだと思う。
その力が何なのかは解らないが…

そしてその事は人の本性をあぶり出して行くんだわ。どんなに気取っていても空腹には堪えられずいざこざは起こるし、現実逃避なのか浮気をしている者同士は、そんな中でもエッチをしたりするんだよね。
更にその状態が進むと凶暴性が増したり、
現実と夢の境目が解らなくなる人も…
そしてラストの展開も衝撃的だよね。
まさか、まさかだもんね…

という様な感じの作品なので"面白かったなぁ"って言う人と"つまらなかったなぁ"
って言う人にハッキリ分かれる作品なんだと思う。個人的には不条理な作品はキライじゃないから楽しめたけど…
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