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皆殺しの天使のRのレビュー・感想・評価

皆殺しの天使(1962年製作の映画)
4.6
上流階級の十数人の人々がオペラ鑑賞のあと晩餐会。紳士淑女のたのしいひと夜…なのだが…なぜかみんなうちに帰れない。はじめはただ楽しいから、みなさんまだ帰らないようですし…、といった感じで客間から出ないんだけれども、翌日の朝から徐々におかしさに気づき始める。ん? 自ら客間を出ないんじゃない。出口は普段通りなのに、そこに見えない壁でもあるみたいに、出られなくなってる!家で子どもが心配しているのでは?と気をもむ人もいれば、持病で苦しみ始める人もいる、死人も出る。みんな、空腹に、渇きに悩まされ始め、シャワーもないから臭いも悪くなる。…なぜそこから出れないのかわからない。その鬱憤が彼らのペルソナを剥がし、リアルな人間性をむきだしにするってなんつー発想!タイトルのインパクトと徹頭徹尾の意味不明さが魅力的。与えられた状況は意味不明だけど、そのなかで暴かれていく人間の滑稽さ、そしてどんどんエスカレートしてシャレになんなくなっていくスリリングさ。まさに近年よくあるシチュエーション・スリラーの走りのような作品とも言えるのでは。傑作っす。
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