このレビューはネタバレを含みます
誰も救われない、救いようない結末だった。
ジャックニコルソン演じる主人公私立探偵が妻を守れなかったトラウマを抱えている街がチャイナタウン。事件の真相を暴こうと行き着く先が、まさにそのチャイナタウン。因果の節目をみたようなラストは非情。。。推理小説とハードボイルドのバランス、そしてそんな脚本が素晴らしかった。
私にとっての初めて認識した”ハードボイルド”映画だったと思う。最近積読にした、村上春樹さんの小説の題名に、まさにその単語が入っているので、この流れで読み始めようと思った。
監督ロマン・ポランスキーもハリウッドで妻シャロンテートを惨殺されている(まさかの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」!!)。そんな映画の監督の依頼を決意するなんて、トラウマを乗り越えるというよりもはや使命感なのだろうか。
・異様な輝きを持った瞳で宿命の女を全身で演じきるフェイ・ダナウェイさんが一番謎めいていた。彼女がニコルソンに殴られながら「妹よ、娘よ、妹よ」と繰り返しながら告げる衝撃の事実。男性が女性を殴るという暴力的なシーンも観るに堪えないが、それ以上に娘であり妹であるという事実には、戦慄させられた。ラストシーンより記憶に残っている。
・ ”…As little as possible.
Forget it, Jake. It's Chinatown.”
チャイナタウンの背景を調べてやっと理解した名台詞。
俺たち白人には関係のないこと、見てみぬふりをするだけ、何もしなくていい、人殺しがあっても関係ない、どうせチャイナタウンなんだから。
こう繋がるのか!と唸った。
(アメリカの大都市にはどこにもあるチャイナタウン、そこに勤務する警察はなかば治外法権的な街だったらしい。左遷状態でなにもしないしできない、人殺しがあっても見てみぬふり、というような背景がある。)