イペー

チャイナタウンのイペーのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
4.4
逃れられない宿命を負った女と、女の中にかつて自分の負った宿命を重ねる男。
業の深さでは右に出る者のいないであろうロマン・ポランスキー監督によるフィルムノワールの大傑作。
まず隅々まで美意識の行き渡った画面の美しさに目を見張る。ちょっとした小道具やら衣装、ライティングに至るまで、色々と意味が込められていて、後になってから気付く事も多い。
主人公のギテスを演じたジャック・ニコルソンは男の美学に貫かれたプロフェッショナルの私立探偵を見事に体現。
フェイ・ダナウェイは目まぐるしく表情を変え、ファムファタルとしてギテスと観客を翻弄する。
そして恐ろしく緻密な脚本。細かなセリフにも一切無駄が無い。
法や秩序の及ばぬチャイナタウンに呑み込まれていくカルマ。
宿命的にハードボイルドからかけ離れている自分は、宿命的に締まらない顔で映画を観終わったのでした。
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