イペー

死霊のえじきのイペーのレビュー・感想・評価

死霊のえじき(1985年製作の映画)
3.8
ゾンビ界のヒーロー、バブ様の雄姿!

ゾンビ大発生後の世界。地下に逃げ込んだ生存者たち。
ゾンビ大好き!ローガン博士率いる研究者サイド。ゾンビ大嫌い!ローズ大尉率いる軍人サイド。人間万歳!ジョン率いるヘリパイロットサイド。三者三様に暮らしております。

極限状態に追い込まれた彼ら。主人公のサラを含め、ゾンビの扱い方、今後の身の処し方で対立してばかり。それぞれに頭のネジが緩むか、外れるかするのもやむなし。
特にヤバイのは博士と大尉。

博士いわく、「ゾンビにだって心はあるし、傷つくことだって、あるんだからね!」
大尉いわく、「ゾンビだろうが人間だろうが逆らうヤツは俺の肉で窒息させてやる!」

意味不明な両者を中心に、シリーズ随一のグログロゾンビ祭りな本作。はっきり申し上げまして、物語を追うだけならそれ程面白くない。今作最大の魅力は何と言ってもゾンビのバブさんの活躍に尽きます。

博士の異常な愛情に包まれ、バブさん、知性に目覚めます。おぼろげながら、意思の疎通や道具の使用、個人の識別をも可能にし、その輝きの前に主人公な筈のサラの影はどんどん薄くなる。

バブさんがゾンビの矜持を胸に抱き、ローズ大尉と対峙するクライマックス、その後のサラの顛末なんかオマケです。
ロメロ監督が作品に込めたであろう、当時のレーガン政権への批判意識だとか、色々解釈もあるのでしょうが、バブさんの雄々しき姿を目に焼き付ける事、それだけに集中して下さい。

今でも頭の中でエコーしてます。バブさんのヒロイックなあのセリフ。
「ア、ア…アウア、ウア…。」
イペー

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