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死霊のえじきのmacaroniのレビュー・感想・評価

死霊のえじき(1985年製作の映画)
4.1
新文芸坐のゾンビ三部作のオールナイト上映で再鑑賞。

前作「ゾンビ」と比較するとゾンビから隔離された地下施設で話が進むので地味な印象。
ゾンビ世界を生き抜くサバイバル感はありませんが、閉鎖空間で全く調和が取れないギスギスした人間関係と超絶パワーアップした人体破壊描写が見どころだと思いました。

基本的には「軍人vs科学者」+「中立的な技術者」という対立構図。
登場人物はみんなキャラが立ってて、個人的に好きなのは無線技師のビル、明らかにうつ病なミゲル、暴君のローズ大尉、あとはゾンビのバブ。(一人に絞れない笑)

無線技師のビル(技術者)はなんとなく顔が特徴的で好き。あと酒好きだけど酒乱じゃなくて、そこそこいい人なのもポイント高いです。
登場人物の中だと一番自分がなりたいポジションです。(酒は飲めませんが)

うつ病なミゲル(軍人)は良い見せ場が一つもないです。
憔悴しきってるし、感情のコントロールが利かなくて科学者の彼女に手をあげたりして見限られるし、仕事も出来ないし、軍人仲間からは差別的な扱い受けるし、ゾンビに噛まれて治療のために片腕切られるし。
本当に不幸の塊のような存在。
でももしも自分がゾンビパニックに晒されたらミゲルと同じように壊れるような気がして、他人のように思えない存在。

暴君のローズ大尉(軍人)はクズ。
軍人のリーダーなのですが、彼のリーダーとしての行動は拳銃を振り回して「俺の言うことに従え!」とデカい声で怒鳴るだけ(笑)
絶望的なゾンビ世界をどうやってサバイブするのか短期的、長期的なビジョンが一切ない無能。
オマケに仲間想いっぽい言動のわりにはピンチになると自分だけ真っ先に逃げ出すというクズ中のクズです。
現実には絶対会いたくないタイプですが、しっかりと酷い死に方してくれるし、悪役として良いキャラしてると思いました。

バブは知能と感情があるように見えるゾンビ。マッドサイエンティストのローガン博士に餌付けされつつ芸を見せる姿はペットや赤ちゃんのような愛らしさがあります。
バブに関しては見てて最初は全然良いとは思ってませんでしたが、最後の敬礼シーンで凄く好きになりました。

正直ところ死霊のえじきより前作、前々作の方が好きなのですが、これはこれで良い作品だな〜と見返して再認識しました。
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