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東京市街戦のmhのレビュー・感想・評価

東京市街戦(1967年製作の映画)
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東映任侠映画に押されていた頃ーー裕次郎ブームがピークアウトしたあとの日活プログラムピクチャー。
フレッシュな渡哲也と、焼け跡で三国人が暴虐のかぎりを尽くしているといういまじゃあ扱えない要素が魅力。
ざっくり「昭和残俠伝」風味だけど、ラストは討ち入りではなく、機関銃で敵をぶっ殺しまくるという痛快な展開。
みなさんご指摘のように、「ワイルドバンチ」以前にこれをやってるオリジナリティはもっと評価されるべきかもしれない。
ただ、機関銃をぶっ放すキャラと、リアルの渡哲也――裕次郎を慕う優等生キャラが乖離しちゃってる気がしないでもない。渡瀬恒彦ならしっくりきたんだろうけど。
「復員船で出会った男が、帰国寸前に自殺した」というプロットよかった。戦争中に諜報活動していた主人公は戸籍を奪われており、その自殺者の身分をいただいたという種明かしがある。このツイストは原作にあったものかな? 過不足のない職人気質のシナリオだった。
焼け跡のセットもすごかった。鈴木清順「肉体の門」の世界観と地続きの闇市だったけど、どちらも日活なので同じ美術さんだったのかな。
と、部分部分は力はいってるし、良いんだけど、全体としてどういうわけかパッとしないという、ちょっと怖い作品だった。
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