はぐれ

小早川家の秋のはぐれのレビュー・感想・評価

小早川家の秋(1961年製作の映画)
3.8
松竹の象徴であった小津がライバル会社の東宝で監督した唯一の作品。森繁久彌や小林桂樹、新珠三千代などのキャスト陣もそうだけど製作の藤本真澄、カメラの中井朝一というザ・東宝のスタッフ陣のクレジットが映画ファンからしたらたまんなくゾクゾクする。

話の内容は監督が自らの死が近いことを予見しているかのようなもの。全編を通じて漂う死の香りがこの作品を異質なものとしている。酒屋の大旦那の万兵衛が病に倒れた時にインサートされる蚊取り線香から立ち昇る煙。これが後の火葬場の煙突の煙の呼び水となっているという小津の仕掛けに円熟の技を見る。

しかしこの映画の一番の見所はやはり名優森繁と名匠小津のバチバチのバトル。黒澤門下で巨匠に忠実な仕事ぶりを示してきた加東大介はこの次の秋刀魚の味にもお呼びがかかるほど小津に気に入られたそうだが、森繁はおそらくその全く逆。アドリブ演技ばかりをやってきて小津も相当手を焼いたんだろうなーって容易に想像がつくから面白い😂なんとかその臭みを消そうと躍起な監督とそれでも画面からどうしても匂い立ってくる森繁の激臭wwこの一進一退のせめぎ合いが最高に楽しいよね🤭
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