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ブラックボード 背負う人の映画のレビュー・感想・評価

ブラックボード 背負う人(2000年製作の映画)
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舞台はイラン=イラク戦争の国境地帯。故郷の村に帰るため、イラクとの国境を目指すクルド人たちの一団。イランとイラクの間を行き来し、命を危険にさらしながらヤミ物資を運んでいる子どもたち。

黒板の演出が印象的だ。本来、黒板は教育のために使われるものだが、戦時中は空襲対策のカモフラージュ、間仕切り、洗濯物干し、骨折の添え木、結納品など、様々な方法で用いられる。ポイントは、黒板が通行の妨げになっていること。背中に背負った黒板が、移動している人間たちにガンガンとぶつかる場面が頻出する。序盤では、教師が闇物資を運ぶ子供たちの前に立ちはだかって、道を塞ぐ場面が良い例だ。

次に、教育=物語ということ。「読み書きができたら物語だって作れる」と教師は語る。「物語なら100は知ってるよ」と、ハヤズという少年が返事をして、「ウサギの話」をする。ところが、後になって、実はこの話は嘘だった、という。この物語の虚構性=読み書き、教育という暗示が考えさせられる。物語の虚構性は文脈によって、善悪のいずれの側面も持ち合わせている。監督がどちらに重点を置いて語っているか難しいところである。

【メモ】
おしっこ、おじいさんの膀胱炎
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