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汚れた英雄のtakのレビュー・感想・評価

汚れた英雄(1982年製作の映画)
3.2
角川映画はリアルタイム世代だし、ローズマリー・バトラーの主題歌Riding Highは吹奏楽部で演奏したこともある(三連符のタンギング難しかった…😩)。だけど映画「汚れた英雄」は観たことなかった…。公開からウン十年経って初めて観ました。

レース映画は難しい。ヘルメットで顔は見えないし、車やバイクの動きだけでストーリーを語るのは困難。角川春樹氏は監督にも挑み、いろいろやりたい放題。ゼッケン見せないと順位がわかりにくい中まあ頑張ってるとは思うが、ロン・ハワード監督の「ラッシュ プライドと友情」がいかに手堅く巧い撮り方してるかよくわかる。

でもねぇ…サーキットの興奮がどうも伝わらない。伊武雅刀のMCもっと聴きたいし、誰も腕も振り上げず声援も飛ばさない観衆には興ざめ。ただバイク乗りには、うなづけるポイントはきっといっぱいあるんでしょうね。

主人公はインディペンデントのチームでレースに挑んでいる。有名バイクメーカーのチームとは違って、とにかく金がない。スポンサーを募るだけでなく、裕福な女性達をパトロンにしてレース資金を出資してもらっているのだ。身体を売って金を得るレーサーだから、"汚れた"英雄なのですな。

しかし、角川監督の演出が1982年当時にカッコいいと思えるあらゆることを、これでもかっ!と詰め込んだだけに、今観ると歯が浮きそうな台詞や吹き出しそうな女性へのアプローチ、それに草刈正雄の鍛え上げられた背中と尻が満載。だから単なるプレイボーイにしか見えないのが残念なところ。

大ヒットした主題歌は全部で3、4回流れるけど、あのアドレナリン分泌を促しそうな曲を、コンクリート打ちっ放しのおサレな部屋でペリエにライムを絞るだけの場面に使うのはいかがなものか(笑)。
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