カタパルトスープレックス

喜劇 とんかつ一代のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

喜劇 とんかつ一代(1963年製作の映画)
3.8
とんかつが大好きだった川島雄三監督が死ぬ直前に作った多幸感あふれる作品です。まず、最初のオープニングからとんかつ愛に溢れている。そしてエンディングはみんなで歌う『とんかつの唄』😍

川島雄三監督はとんかつがかなり好きだったらしく、この前にも『とんかつ大将』(1952年)という作品も作っています。同じ客商売の主人公を扱った作品としては森繁久彌主演『暖簾』(1958年)に近い。でも、群像劇としてはフランキー堺主演『貸間あり』(1959年)かな。まあ、近い作品二つの主人公の共演作が本作なんですが。

それにしても川島雄三監督はセットを使った舞台設定が好きですよね。今回はとんかつ屋が舞台。一階が調理場で二階がお座敷になっている。この二つの舞台でドラマが進行する。

ストーリーは微笑ましい家族劇です。ホームドラマ。『洲崎パラダイス赤信号』(1956年)や『幕末太陽伝』(1957年)の頃のようにエッジは効いてないし、前年の若尾文子主演『しとやかな獣』(1962年)のような挑戦もない。しかし、本作には多幸感があるんだなあ。大円団に続く、みんなで歌う『とんかつの唄』。もう、それでいいじゃない。そう思える作品。