〝未来、たぶん日本ーー。アンドロイドが実用化されて間もない時代。〟
舞台設定しか書かれていないが、何が起きそうな予感をさせる良いキャッチコピーだ。
人間とアンドロイドが共存する時代。ある日、自分のアンドロイドが勝手に寄り道していることに気づいたリクオは、その場所を訪れてみることに。そこは人間とアンドロイドを区別しない秘密のカフェ「イヴの時間」だった…というストーリー。
『アイの歌声を聴かせて』がとても良かったので、同監督かつ同じ題材ということで気になって観賞。
『アイの歌声〜』とはテイストがまるで違うが、これはこれであり!
爽快感や明るい気持ちになれるというよりは、しっとりいい話を味わえた、という感じだ。
アンドロイドには天使の輪のような電光掲示が常に見えていて、人間とアンドロイドを瞬時に区別できる。だが、カフェ・イヴの時間に入店した瞬間、アンドロイドの天使の輪が消えてしまい、人間とアンドロイドを区別できなくなってしまうというギミックが面白い。
あの席に座っている人は人間?それとも…?と考えながら観ることになる。
アンドロイドにも世代があり、人間と完全に分からない新型もいれば、明らかに機械だと分かる旧型もいる。だが、旧型には旧型のドラマがあって、むしろ旧型の話の方が断然泣ける。
終盤で攻殻機動隊っぽい社会派な展開になりそうだったが、そういう着地にならなかったのがこの作品のすごいところだ。
アンドロイドは人を傷つけない、というロボットのセオリーが守られていて、『アイの歌声を〜』とは別のベクトルで感動できる名作だと感じた。