GODZILLASAURUS

イヴの時間 劇場版のGODZILLASAURUSのレビュー・感想・評価

イヴの時間 劇場版(2009年製作の映画)
4.5
「肩に力を入れず観れる。アニメ映画の秀作」

近年のアニメの傾向、特にSFやサスペンス臭のする作品は、伏線をたくさん作ってそれを上手に回収して、観るものをアッと驚かせるラストを用意しなければダメである。のようなものを個人的には強く感じているが、本作は伏線のようなものは少なく、大きな物語の1つの章を描いているだけで作品は完結していない。
「イブの時間」というアンドロイドと人間を区別しない空間を提供する喫茶店を舞台に、そこに集まる人物たちに順番にスポットを当てながらストーリーが進んでいく。
完結しないんだ!というモヤモヤもあるが、それを吹き飛ばすぐらいテンポがいい。登場人物のキャラもすごく良く、観ていて飽きない。強烈な個性のキャラはいないけれど、小さな個性の人間とアンドロイドの交流にここまで引き寄せられるなんて、演出と脚本の賜物じゃないかな。

珍しくもない人とアンドロイドの関係を描くSF作品だが、ストーリー展開、カット割り、謎の提示、キャラの個性、音楽の使い方の全てが高水準で、心を柔らかく温かくさせるかなりの良作アニメ映画。星4.5
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