矢吹健を称える会

超能力者 未知への旅人の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

超能力者 未知への旅人(1994年製作の映画)
1.7
 珍作です。基本退屈なのだが、部分的にめっちゃ変。ラストショットはレジェンド級。

 まずこの映画の主人公、タカツカ氏は実在の人物なのだが、彼を演じる三浦友和と、現実のタカツカ氏本人が、映画のなか、画面のなかで、何度となく入れ替わるのである。なかなか困惑する。
 まあこれにはいちおうの理由があって、つまり「タカツカ氏が超能力にめざめる」という劇パートと、「タカツカ氏の能力を検証する」という非・劇パートが混在していて、前者では三浦友和が、後者では実物タカツカ氏が出演することになるのだが、徐々にその境界も曖昧になってくる。

 終盤に入ると「あなたみたいな能力の人、中国にたくさんいるんでしょ」とかいう奥さんのアドバイスによりタカツカ氏は中国へ。気功の修行風景を見物するのだが、ここは最初三浦だったのが、カットが変わるといつのまにか実物タカツカ氏に変わっている。そして実物タカツカ氏が眺めている(という設定の)気功修行の様が長々映され、たいくつだなと思っていると画面下部に突如「この手から出ている気を 画面を通じて感じ取れる人が いると思います」という、意図のわからないテロップが。だから何だよ。
 その後も時に三浦が、時に本物が、「タカツカ氏」として画面に映るのだが、ラスト、帰国した三浦タカツカが家で妻(原田美枝子)と抱き合うカットの直後に、フランキー堺がタカツカ家のドアを開けて入ってくる。これがまたすごい。というのは、フランキーは本作で三浦の上司を演じているので、同じキャラクターが登場したのだろうと思っていると、ここでタカツカ家に入ってくるフランキーは「フランキー堺本人」なのである。しかもいつのまにか三浦タカツカは実物タカツカに変わっており、実物タカツカとフランキー堺本人の会話が始まるのだ。なんでもフランキー堺は実際にタカツカ氏の治療を受けたらしく、「おかげでもうこんなに元気で」とかなんとか言っているのだが、本作公開のちょうど2年後に亡くなっている。