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過去のない男のefnのレビュー・感想・評価

過去のない男(2002年製作の映画)
4.0
 まさかのカウリスマキ版どですかでん、ルンペンもの。
 社会保障番号=管理社会と産廃でできた小屋=貧困街の対比が印象的だった。日本や米ではスラムの自給自足を強調しがちだけど、この作品は社会復帰しようにもできない、番号がないために管理できない人を主題にしている。自由な場所を求めても結局は社会福祉=管理の編みに捉えらてしまうのが北欧らしい。
 小道具の読み替えも独特で古着=仕事着がデート着になって、ジュークボックスが野暮ったい救世軍の音楽隊を変革を促す。服はいつもの赤(不幸な時は緑)、音楽隊はロックで過去の引用がうまく調理されている。
 開始数分で暴漢に殴られ金を取られて病院行きになるのはもはやメタなパロディ。ただ最後の最後に彼らを待っている運命はこの作品限りのものでカウリスマキのファンで溜飲が下げる人も多いはず。
 本作と街のあかりはコントロールが聞いていてかなり好みだった。
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