千年女優

レオン 完全版の千年女優のレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
3.0
ニューヨークに住むイタリア系移民で、マフィアのトニーからの依頼を黙々と遂行する殺し屋レオン。アパートに住む隣人一家が麻薬取締局刑事で密かに麻薬販売を行うスタンスフィールドに惨殺された際に唯一生き残った少女マチルダを匿う彼が、親子とも恋人ともとれない複雑な関係を築く様を描いたリュック・ベッソンのスパイ映画です。

『ニキータ』で世界的に注目されたリュック・ベッソン初のハリウッド監督作であり主演のジャン・レノとナタリー・ポートマンの出世作にもなった大ヒット映画で、少女育成ものの古典『ピグマリオン』を下地にバイオレンス要素を振りかけて最後はロマンティズムでコーティングして仕上げた構造には『ニキータ』を上回る歪さを感じます。

お話のコンセプト自体は一歩踏み誤れば歪んだ男性的欲望を満たすものに転落しそうなところを、はまり役のキャストがそれぞれ持つ特性を活かし、ジャン・レノの節度とナタリー・ポートマンの気品、そしてゲイリー・オールドマンのサイコパスのアンサンブルで危ない綱渡りを渡り切って古今東西で愛されるものにこぎつけている一作です。
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