一昨日の一本。
お手本のような映画。シンプルイズベスト。簡単なキャラクター設定でとっても見やすく、尚且つ過激、バイオレンスで見飽きるシーンが一つもなく閃光の如く話が過ぎ去っていく。複雑な映画が増えてよりディープな世界観が魅力となる昨今でこれほど極端に圧縮されたMP3のような映画はそうそう出会えない。
不可逆圧縮である故に本当に必要なものだけを映像化されてそれ以外のすべてを削ぎ落としている。ハイテンポなのでかなり不安定なキャラであるマチルダやスタンスフィールドもコストカットの結果としてむっちゃキレキレキャラになった。でもあれがいい。この映画が如何に火薬庫というか火事場であるかを端的に表していると思う。アタマおかしいのか？と思うシーンもチラホラあることはあるが明日などなく今日を生きるか死ぬかを感じているのだから皆刹那的に生きるようになるだろう。
レオンはこの映画以降殺し屋のスタンダード、またはアイコンそのものとなるぐらいには有名になったヒットマンだと思う。主人公で常識人だから観客の視点に寄り添いながらこのイカれたニューヨークに目を光らせる。だからストーリーも理解が早い。
映画は登場人物の最も眩しい瞬間を切り取ったハイライト。であるからこそ余計なものなくスピード感と感情移入が合わさる本作のより傑作としてのあり方が際立っている。なんというか不純物もミネラルも塩素もない純水という感じでとてもノド越しが良い。そんな映画だった。
