ダイアー教授

レオン 完全版のダイアー教授のレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
4.0
題:リュック・ベッソンの身の丈に合った傑作

思い入れの強い作品で、言いたいことは山ほどありますが4つにまとめてレビューします。

1.名シーン
“レオン、あなたに恋したみたい…”
そう言って、マチルダがおへそ(へその下には…)に手を当てるシーンの意味、
初見時(中学生)は理解できませんでしたが、大人になった今ではわかります。
その時のレオンの気まずさも。

2.ナタリー・ポートマンの魅力
マチルダ役のナタリー・ポートマンの可愛らしさに心を射抜かれました。
「こんなキレイな女の子がアメリカにはいるのか~!モサドとドナリエラの国生まれなのか!」
とビックリしました。

ナタリーが演じたマチルダさん、可愛いだけじゃなくて、
“助けた責任を取りなさいよ!追い出したら、助けなかったのと同じよ!”
と、命の恩人であるレオンに対してスゴむ、厚かましさも備えています。
女性の“生への執着”を感じさせました。
死を生業とする殺し屋のレオンを前にみせる生への執着、スゴいですね!

マチルダは男の人生を狂わせる絶世の美少女、まさにファムファタルです。

冒頭に登場するコールガールが対比となっていると思います。
顔の造作はナタリーと似ているのだけれど、目鼻立ちの品がないし、安っぽい金髪のウィグをかぶっています…この役の女優さん、ご愁傷様です。

以下、憶測ですが、この女の子を買うギャング(レオンに子分を殺されて、モリッツィオさんからトコロバライを命じられるオッサン)こいつはベッソン自身の投影と思えるのです。

デブでヒゲ面のロリコンオヤジ…ベッソンそのものじゃないですか!!!

3.ベッソンさんの身の丈
『レオン』以降のベッソンのフィルモグラフィを見ると…
子供の頃から書き温めた『フィフス・エレメント』のサムい感じとか、
『ジャンヌダルク』や『ヴァレリアン』の大コケとか…
イマイチです。
それなりに当たった『ルーシー』も正直くそツマンないです。

『レオン』って、『フィフス・エレメント』の資金(120億円程度)作りのために脚本を2日で書き上げた30億円程度の中規模映画だそうです。

子供の頃から温めて大金を投じた大作と、金のために2日で書いた中規模予算映画…
どっちがいいデキだったでしょうか?明らかなのではないでしょうか?

ユーロコープで作った低予算の『Taxi』や『Taken』シリーズはそこそこ観られる作品で、そこそこヒットもしたけど、
大金を投じた『ヴァレリアン』は大コケして、ユーロコープを破産させるという目も当てられない結果となりましたね。

ベッソンは『レオン』くらいの中規模の映画が合っているような気がします。
それが彼の身の丈なのかもしれません。

4.最後に
金に困ったベッソンさんが、レオンのエピローグやマチルダのその後、
なんて映画を間違っても作ろうなんて思わないことを、
ひとりの『レオン』ファンとして祈るばかりです。

作ったら、僕がリングトリックで爆殺します。
きっと『チーム・アメリカ』のマイケル・ムーアみたいに飛び散るさ