メイプルわっふるG

28日後...のメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

28日後...(2002年製作の映画)
4.4
※5年ぶり再鑑賞&再レビュー

パンデミックから28日後に目覚めた男。廃都と化したロンドンで途方に暮れるも、目的を模索し行動し続ける。

逆襲のキリアン・マーフィ、返り血の顔とガラスのような目が素敵。
グノーの「アヴェ・マリア」が流れながらのヒャッハーは私的クライマックス。

散りばめられる風刺と伏線。複数のエンディング。
世界観をきちんと作ろうとしている姿勢が好き。諸々の出来事に理由付けがなされているため、他作品に比べ随分と整合性が取れている。

一番の好ポイントは、走る・走れる理由。
今作は凶暴化するウイルスによる"感染者"の暴徒化なので、"生ける死体"ではなく"生ける屍"→精神的には死んだも同然だけども、肉体的には生きている者たち。

五体満足の生きた人間がドーピング&狂っているのならば、猛ダッシュにも納得がいくというもの。リミッター(理性のタガ)が外れているので、常に火事場の馬鹿力。エネルギーが枯渇するまで暴走し、そして餓死もする。

餓死←これ大事。死体ではなく感染者(生きた人間)。他作品とは一線を画す現実的な設定。
もともとロメロゾンビの方が好きなので、"走るゾンビ"のこういった成る程設定はとても好印象。

だって死体が走るって物理的におかしい。腐った骨肉じゃ膝も筋肉も保たないと思う。
なりたてフレッシュな死体だとしても、筋力以上のパワーを出すからすぐに壊れるし。

そもそも死体が動く時点でオカルトなのだけど。呪術や超常現象は大好きだからオールOKなのだけど。
不可思議な力が働いていることは確かなのに、何故に頭を破壊するだけで活動停止するのかと。そこら辺の説明はほとんどの作品でなされない。

今作はロメロゾンビ同様、ネタやプロットが豊富で秀逸。後に影響を与えたのも当然のこと。
荒廃した世界で昏睡状態から目覚める始まりは、あの『ウォーキング・デッド』でも。
廃墟の高層マンションの一室から漏れるイルミネーションの灯りは『TOWER』だったか。

二番煎じ万歳。良いネタをどんどん取り入れ、より多くの、より上質なゾンビ映画が増えてくれるのなら、それはとても嬉しいことだ。


2021.03.13 ひかりTV
2016.03.20 FOXムービー
2015.10.12 ひかりTV