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ベン・ハーのOmakeのレビュー・感想・評価

ベン・ハー(1925年製作の映画)
4.0
1959年版のベン・ハーを見た後にこちらを鑑賞。

無声のモノクロ映画で、約2時間半。
セリフのある時は文字画面に切り替わる作り。

古い映画は見慣れていないので、話に入るのに少し時間がかかったけれど、慣れると物語に引き込まれる。

役者の演技は舞台役者のそれ。身振りが大きく型にはまった感じ。
そして物語の推移も吉凶も、また人の喜怒哀楽も全てを音楽が代弁する様式。

1959年版に比べて、こちらは副題通り、
「キリストの物語」という感じが強い。謎の人物として描かれるところは同じだが、キリストの説いた教えやエピソードが随所に散りばめられ、奇跡が起こり、信じる者には神の恩寵が与えられ、キリストの教えを理解するための物語として捉えられる。

ベン・ハーがたどる数奇な運命は1959年版とほぼ同じだが、役者の雰囲気は大分違う。
また特徴的なのは、作品が公開された当時のベル・エポック時代の空気がコスチュームなどに反映されていること。その点で質実剛健な古代ローマの雰囲気とはやや異なって見える。

解説の文字画面が時々挿入される効果で、なにやら宗教説法を聞いてるような部分もなくはないが、戦闘シーンの迫力もありアクション映画というかアドベンチャー映画というか、迫力ある映画に浸る感じはある。この時代の映像技術を知らないので、これ一体どうやって撮ったんだろうか?とただただ驚愕していた。

あとから他の人の書いているレビューを読んで、海戦、戦車レース、神殿の崩壊などは合成映像だと知るが、そうだとしても凄い。

こちらの作品の方が1959年版に比べメッセージ性はより明確だ。何と言っても言葉による解説画像が随所に挟まれている(笑)

軍隊をもって、力による抑圧で人々を支配する古代ローマに対し、剣の代わりに真実を、盾の代わりに愛を持って人々を救うキリスト。死ではなく生を尊び、復讐ではなく赦しを与え、戦争ではなく平和を求めよ、と。

なんか説教くさくなってしまったけど、古代ローマ世界が好きな私でもすっかり懐柔される言葉の魅力があったということね。

あと、ふと思ったことなんだけど、昨今話題のChatGPTによってもう人間はいらないとか、Botがあなたの代わりに考えて働いて生きてくれるとかいう話があるけれど、キリストってまさに使徒が作り出したBotによってずっと生き続けているんだよなぁと気づいて、この先取り感、すごくね?
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