しろくまとブラックコーヒー

ピアノ・レッスンのしろくまとブラックコーヒーのレビュー・感想・評価

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
5.0
たぶん今まで観た中で最も頭の中で反芻された映画。

浜辺に置き去りにされた自分の半身ともいえるピアノ。
潮風にさらされて音が鈍り、
現地民の手で運ばれ、
夫の友人の元へ引き渡されてしまう。
これは意図せず再婚させられた主人公に重なる。

さらに口を聞けない女性と文字を読めない男性が意思の疎通を図るための手段や、
まだ幼い娘の無邪気さが招く罪、
そして自分の半身を切り離しても伝えた愛の代償。

それぞれのテーマがしっかりしていたので、映画として観ながらも単なる官能映画とは違う哲学的なものを感じた。