「ブリキの太鼓」Die Blechtrommel 1979
日本公開時以来の再鑑賞。あちこちのディテールを覚えていて懐かしかった。祖母の四枚のスカートの中。ヤンが最後に見せたハートのクイーンのトランプ。オスカルの声で割れるガラス。
後半オスカルがサーカス一座と一緒にナチスの制服を着てナチス兵士を慰問する場面があった。
原作小説が発表されたのが1959年。映画化されたのが1979年。原作者グラスがノーベル賞を受賞したのが1999年。そしてグラスが「15歳で労働奉仕団員や空軍防空部隊補助員を務め、17歳で武装親衛隊の第10SS装甲師団『フルンツベルク』に召集入隊した」(wiki)事を告白したのが2006年だった。
この映画が公開された当時は原作者グラスは舞台となっているダンチヒ自由市(現在のポーランド・グダニスク)出身というだけでナチのSSだった事はまだ告白していない頃だ。
オスカルがナチスに協力した場面は今思うとグラスの実体験が反映していたんだな。
だから当時観た時にオスカルが単なるナチスの被害者ではない事が??となったものだった。複雑なキャラクターだなぁと思った。
映画のファーストショットとラストショットはどちらも平原と黒いスカーフを被ったスカート姿の女性が焚き火をしている光景。
北部ポーランドの平原で始まった物語は同じ場所で終わる。
大地は何も変わらない。色んな人間がやってきて出会って結ばれて子供が産まれてあるものは戦いであるものは自ら命を縮める。昔から繰り返される営みだよと祖母アンナが語っている様だ。