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潜水服は蝶の夢を見るのデイのレビュー・感想・評価

潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)
4.0
実話でしたか…。

女性ファッション雑誌"ELLE誌"の編集長ジャンドミニックボービー(ジャンドー)が閉じ込め症候群(Locked-in-syndrome)になってしまい…。

脳の感覚は正常なのに、身体が全く動かせない閉じ込め症候群。

もっと、救いようの無い、つらく悲しい映画かと思っていたけれど、
だから、この映画を観るのをためらっていたけれど、
そういう作りにはなっていなかった。

映画の始まりから暫くはジャンドー目線で映画は進んでゆく。
ジャンドーの姿は映画を観てる側からは見えない。
代わりにジャンドーが目に見える範囲の物や人物だけが映り込む。
なので、観てる側の私(たち)が、スっとジャンドーの気持ちに入ってゆける作り。

ジャンドー自身も何が起こったのか、何故、自分がこんなふうになってしまったのか理解していない。

ジャンドーの心の中(頭の中)の言葉たちが響く。
誰にも聞いてもらえない。
ジャンドーの皮肉めいた言葉たち。
作家だけあって、彼の言葉一つ一つがシャレていて、皮肉めいてる。

潜水服を着せられて海に沈められてる気分だ…。
とか…。

ジャンドーが唯一動かせるのが左目。
言語聴覚士の女性ががアルファベットを読みあげ、瞬きをして、気持ちを伝える。
この方法で、
「潜水服は蝶の夢を見る」(自伝)の本を書きあげ、出版までこぎつけちゃうんだもの!!
本当に気の遠くなるような作業…。

って言うか…筆記記録者の女性と言語聴覚士二人とも美人で区別がつかなかったよ?(T_T)?

あー!!お願いだから、サッカーの試合をテレビで放送してるんだからテレビを切らないでくれ!!

このパケ写にある離婚した妻と子供たちの海のシーンがとても好きです。

そして、まだ健康だった頃のジャンドーの思い出。
愛する父との思い出…。
倒れてからの父からの電話はとても切なかった(T_T)。

ジャンドーが見る夢。
悪夢もあって、幸福に酔いしれる夢も見る。
夢の中でだけはジャンドーは自由に動くことが出来る。

冒頭に来るシーンを敢えてラスト近くに持って来る映画の作り。

お願いだから…お願いだよ!!
リハビリして、きっと良くなるよ!!
祈るような気持ちで観ていたけれど…。
でも、本の出版から僅か2ヶ月でジャンドーは…

だって、実話だなんて知らなかったんだもの(T_T)。
ジャンドーォォ!!!(T_T)!!

フィルムの撮り方や音楽も好みだった。
蝶が孵化するところ、氷山が崩れるところ…夢の中の生牡蠣とキス…。

音楽も…
愛人とのドライブで突然流れるU2の曲。

そして、何よりもジャンドーを演じたマチューアマルリックが魅力的でした。


邦題が秀逸ですね。
英題
"The Diving Bell and the Butterfly"
これは、本を翻訳された河野真里子氏の凄さかな…。

原作本読んでみたいな。

上手く自分の感想を言葉に、文章に出来ないもどかしさ…。
特にこの映画は"この映画の良さ"を伝える事の難しさを感じています(T_T)。



以下余談

前に「アンビリーバボー」で閉じ込め症候群なのに10年も気付かれなかった青年の話を放送していて
身体は動かないけれど、脳は正常なのに、意識不明と10年間も思われていたなんて…。
その青年は10年間どうやって過ごして来たのだろう。
気付かれ無いって本当に怖い。

私、体質的に眠りが浅くて良く"金縛り"に掛かるのですが、レイ的なヤツじゃないヤツ笑。
本の何秒かなのに、
"うわ!!ハマった!!ヤバイヤバイ動かない!!"
本当に鍵でカチっ!とロックされた感覚。
頭の中で相当焦っています。
テレビ点けっぱなしだったら、テレビの音が普通に聞こえます。

そんな数秒が怖くてたまらないんだもの。
この病気の人の苦しみは、はかりしれないほど。

どんな病気でもそうなのですが…。
デイ

デイ