「映画」というフィールドを使ってここまでやりたい放題やれてしまうって凄い。決して面白い映画ではないけれどこれまで自分が作り上げた作品群に対して中指立ててるこの映画のスタンスは挑戦的で好き。
バイオレンス映画のイメージを払拭すべく様々なジャンルの映画を撮ろうと迷走する北野武が主人公。この設定も完全にフィクションじゃなくて映画に対するリアルな心情も入っているんじゃないかな…。
様々なジャンルの映画を撮ろうとする前半は内容そのものは面白くないけれど、「迷走する北野武」という姿が面白い。
後半は「みんな〜やってるか!」みたいなコメディ全振りの作風になってくる。
クッソしょうもないコントのような場面も多く、蝶野正洋と天山広吉が大暴れするシーンは普通にコントとして面白いし、北野武と井出らっきょの絡みはシュールだし死ぬほど下らない。
多用される吉本新喜劇的ズッコケ、一昔も二昔も前のFLASHムービーみたいなショボいカクカクのシネマグラフなど北野映画のみならず普通の映画ではまずお目にかかれないであろう演出の数々。キタノブルーのようなこれまでの作風を全てぶっ壊すような映像ばかり。
「TAKESHIS'」の続編がこれと考えるとリアルタイムで鑑賞した人、マジで「北野映画終わったな、オワコン」って思ったんじゃないか…。
